上田流(馬術)(読み)うえだりゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「上田流(馬術)」の意味・わかりやすい解説

上田流(馬術)
うえだりゅう

近世馬術の一流派。流祖は上田但馬守重秀(たじまのかみしげひで)。重秀は、大坪流馬術を斎藤安芸守(あきのかみ)(1494―1572)の高弟、細川左衛門佐(さえもんのすけ)康政に学び、伊勢安濃津(いせあのつ)の城主富田左近将監一白(さこんしょうげんいっぱく)、および同信濃守(しなののかみ)信高(?―1633)の父子に仕えた。関ヶ原の戦い(1600)のとき、信高が東軍に属したため、西軍の大軍に攻められて籠城(ろうじょう)中、城内に侵入した毛利秀元(もうりひでもと)の軍兵を馬上太刀を振るって追い返し、「無双の馬上の達者」(関ヶ原記)とうたわれた。のち信高の改易により浪人となり、江戸に出て旗本の加藤勘助重正(980石)らに伝授した。重正は3代将軍徳川家光(いえみつ)に馬上太刀打ちのことを言上して有名となった。重秀の子丹波(たんば)守重国、その子吉之丞(きちのじょう)重時と相次いで馬術に長じ、大いに家名を高めた。重時のとき、阿波(あわ)徳島の蜂須賀(はちすか)侯に招かれ、子安重、孫重昌以下よく家芸を伝えて幕末に及んだ。

[渡邉一郎]

『『日本馬術史 第2巻』(1940・日本乗馬協会)』

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