下刈り(読み)したがり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「下刈り」の意味・わかりやすい解説

下刈り
したがり

幼い造林木の生育を妨げる雑草木を刈り取ること。幼い造林木の成長は通常、雑草木の成長に及ばないので、雑草木に覆われ十分な光合成を行うに足る光を与えられず生育が妨げられる。また水や栄養塩類摂取も、根をよく張っている雑草木と比べ不利となる。このため下刈りが必要となる。しかし、寒さや乾燥の激しい土地に造林された場合、雑草木を取り除くと、造林木周辺の風速増加、湿度低下、気温較差の増大などを招き、下刈りがかならずしも造林木の保護とならない場合もある。下刈りの時期と回数は、方法、造林木の性質、雑草木の生態ほかに、労力などの経済的条件によって決まるが、一般には造林木が雑草木によって覆われなくなるまでの期間行われる。

[蜂屋欣二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「下刈り」の意味・わかりやすい解説

下刈り
したがり
weeding

手入れ刈りともいう。小さい苗木を保護するために雑草木を刈取ること。造林したばかりの小さい林木は雑草木におおわれて生長が妨げられたり,枯れてしまうことがあるので,雑草木を除去する必要がある。日本では一般に造林してから数年間,年1,2回行われているが,1回の場合は7月頃,2回のときは6月8月が適当とされている。

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林業関連用語 「下刈り」の解説

下刈り

苗木の健全な育成のために、植林後数年間、苗木に支障を及ぼす雑草や低木などを刈り払う作業をいう。

出典 農林水産省林業関連用語について 情報

世界大百科事典(旧版)内の下刈りの言及

【造林】より

…後者の苗木を山引(やまびき)苗とよんでいる。 植樹造林の手順は,植栽材料の選定,植付本数の決定,苗木の育成,地ごしらえ,植付補植で,このあとに他の造林法にも共通な手入れとして下刈り,つる切り,除伐,枝打ち,間伐がある。(1)植栽材料の選定 造林予定地またはその周辺にもともとある樹種,品種あるいは系統を用いる場合は問題ないが,新しい材料を用いようとする場合には,予定地の環境条件(気候,気象,地形,土壌など)を調べ,それらに最も適したものの中から,仕立てようとする林の目的にかなったものを選定(適地適木)し,林木育種事業で素質,品質が保証された種子または挿穂があればそれらを入手する。…

※「下刈り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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