家庭医学館 「下大静脈後尿管」の解説
かだいじょうみゃくこうにょうかん【下大静脈後尿管 Reterocaval Ureter】
生まれつき尿管が下大静脈の後方から内側、前方へと回って膀胱に入る、まれな病気です。これは静脈系の発生異常で、ふつう右の尿管におこります。
尿管が強く曲がり、静脈で尿管が圧迫され、尿の流れが悪くなります。そのため尿管や腎臓(じんぞう)内の圧が高まり、水尿管(すいにょうかん)や水腎症(すいじんしょう)(「水腎症」)になります。
[症状]
症状がないことも多いのですが、尿の流れが障害されるので、尿路に細菌感染がおこりやすく、また、尿路結石(にょうろけっせき)(「尿路結石」)や水腎症もおこり、尿の混濁(こんだく)、血尿(けつにょう)、疝痛(せんつう)(きりでもまれるような痛み)などの症状が現われます。
静脈性腎盂造影(じょうみゃくせいじんうぞうえい)、逆行性腎盂造影、血管造影などの検査によって診断しますが、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気画像診断装置)でも診断できます。
[治療]
症状がなければ経過をみますが、症状がある場合や水腎症がみられる場合は、手術をします。
尿管を切断し、正常な位置にもどしてからつなぐ方法と、下大静脈を切断し、尿管を正常な位置にもどしてからつなぐ方法とがあります。
腎機能の回復が望めない場合は、腎臓を摘出します。