デジタル大辞泉
「下座」の意味・読み・例文・類語
げ‐ざ【下座】
[名](スル)
1 貴人に対して行う礼。座をおりて平伏すること。
「門番が忽ち本門の側に―した」〈鴎外・渋江抽斎〉
2 しもての座席。しもざ。⇔上座。
3 歌舞伎劇場で、囃子方のいる席。また、囃子方。古くは舞台上手の奥にあったが、近世末期から下手に移った。外座。
4 法臘で、出家してから夏行を9回するまでの僧侶の称。
5 僧侶が説教などを終えて、高座から下りること。
[類語]下座・末席・末座・下・下手
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げ‐ざ【下座】
[1] 〘名〙
① (━する) 高貴な人に対して行なう
敬礼。座より下りて平伏すること。地上に平伏することを特に
土下座といった。〔運歩色葉(1548)〕
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中「婢等は『お入来
(いで)なさいまし』と
を外しながらばたばた下坐
(ゲザ)をする」
② しもての座席。末座。しもざ。
※十訓抄(1252)一「大判事明兼が下座に候て、いささか口入(くにゅう)を申したりけるを」
※
浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)
道中双六「家老衆の子同前に二番と下座に下がらぬ人」 〔新唐書‐宋璟伝〕
③ 劇場などで、舞台の陰の、
囃子方
(はやしかた)が演奏する席。また、その囃子方、その音楽。
歌舞伎では古くは舞台上手
(かみて)(=向かって右)の奥であったが、のちに下手
(しもて)(=左)に移った。
※習道書(1430)「かなはねばとて、人数をたて、あまさへ、下座より同音をうたふ事、さらにさらに道にてはあるまじきなり」
※洒落本・祇園祭挑燈蔵(1802)初幕「唄や
はやしをつけることを下座
(ゲザ)へとると申ます」
④ 仏語。出家後の僧侶の
年数、
法臘(ほうろう)について、出家の年より安居
(あんご)を九回終えたものまでをさす。
※
十善法語(1775)九「
食物は上座も下座も平等なるべく」 〔毘尼母経‐六〕
[2]
福岡県の中央部にあった郡。古くは「しもつあ
さくら」「しもつくら」と言った。明治二九年(
一八九六)
朝倉郡に統合されて
消滅。
しも‐ざ【下座】
〘名〙
① 席の中で、最も下手
(しもて)の座。
下位の人などの着く座席。末席。げざ。⇔
上座(かみざ)。
※
御伽草子・鉢かづき(室町末)「いかでてん人のやうがうをしもざにをくべき」
※歌舞伎・
幼稚子敵討(1753)六「位牌を二つ共に上座へ直し、其側へ兄弟が手を取、連れ行据へ、下座に直り手を突て」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
下座【げざ】
歌舞伎用語。外座とも記す。伴奏音楽を演奏する場所,またその音楽(下座音楽)をも合わせていう。舞台下手(しもて)(左側)にある。幕の開閉の際や,人物のせりふやしぐさに合わせ,舞台効果をあげるために演奏。三味線を主とし,必要に応じて歌や各種楽器による囃子(はやし)を添える。演奏の場所は黒板で囲み,黒い御簾(みす)が掛かっているので黒御簾とも呼ぶ。なお寄席にも下座があり,芸人の出入り,芸の伴奏に使う。
→関連項目大太鼓|大鼓|桶胴|笏拍子|摺り鉦|銅拍子|独吟|木魚|木琴
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下座
げざ
歌舞伎用語。古くは「外座」とも書いた。歌舞伎の演出効果を高める音楽を演奏する場所が舞台下手 (向って左) の黒塗りの御簾 (みす) を垂らした黒板塀の奥であるため,その場所を示す用語として,またその黒御簾の奥で演奏される音楽の総称としても用いられているが,普通には後者をさす。下座音楽,黒御簾あるいは陰などともいわれ,歌舞伎音楽の代名詞的な役割を果している。初期の歌舞伎では,舞踊の伴奏音楽の奏者も舞台に出て,観客の面前で演奏していた出囃子であったが,せりふ劇の発達により,舞踊あるいはこれに類似する演技の地方 (じかた) をつとめる以外は,舞台から退き,陰にあって,必要に応じて舞台効果を強調する役目を果すようになった。下座はその成立以来,劇場専属の長唄囃子方が担当している。劇場の開場を知らせる一番太鼓に始り,幕の開閉,人物の出入り,動作,会話,そして最後の打出しにいたるまであらゆる場面にその効果を発揮し,あらゆる伝統的な日本音楽を遠慮なく歌舞伎化して利用する。下座に使用する楽器も多種多様であり,能楽系統の大鼓,小鼓,太鼓,笛,歌舞伎独自の三味線,大太鼓を主要楽器とし,さらに皮革製の楽太鼓,大拍子,豆太鼓,羯鼓 (かっこ) ,金属製の本釣鐘,銅羅,双盤,松虫,木製の笏拍子 (しゃくびょうし) ,木魚,木琴,砧,四つ竹など,あらゆる補助楽器が利用されている。
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下座
舞台下手(しもて。向かって左側)の黒御簾(くろみす)に囲まれた伴奏音楽用の部屋。ここで演奏されるものを下座音楽、黒御簾音楽ともいう。
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