下書き(読み)したがき

精選版 日本国語大辞典 「下書き」の意味・読み・例文・類語

した‐がき【下書・下描】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 清書をする前に、ためしに書いてみること。また、その書いたもの。げしょ。
    1. [初出の実例]「下書か水にうつろふ文月夜〈喜之〉」(出典:俳諧・玉海集(1656)三)
    2. 「したかきしをきてより清書したり」(出典:評判記・色道大鏡(1678)九)
  3. 文章などで、まだ修正などを加えていないもの。完成していない文章。草稿草案。げしょ。
    1. [初出の実例]「件額事、被世尊寺前宰相〈行康〉、書下書。如例被御墨歟。号勅額也」(出典:親長卿記‐文明八年(1476)二月二六日)
    2. 「国もとの状をも人頼みするなと下書かいて渡せしが」(出典:浄瑠璃・心中万年草(1710)上)
  4. 絵画を描くとき、めやすをたてるためにあらかじめ描いてみること。また、その絵。絵画の素地に直接、簡単な線描をしたものや、練習のために別に描く習作など。下絵エチュードデッサン
  5. 手紙などの、あて名を書くところに、相手の官名を書くこと。上所(あげどころ)に官名を書くこと。
    1. [初出の実例]「肩書下書(シタガキ)といふ事有。〈略〉下書とは進上謹上の下に官名を書を云」(出典:随筆貞丈雑記(1784頃)九)
  6. 比喩的に、事前に立てた計画。「下書きどおりに事が運ぶ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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