下部(読み)シモベ

デジタル大辞泉 「下部」の意味・読み・例文・類語

しも‐べ【下部/僕】

雑用に使われる者。召使い。「神の―」
身分の低い者。
「この魚…頭は―も食はず」〈徒然・一一九〉
官に仕えて、雑役を勤めた下級役人
「―ども参ってさがし奉れ」〈平家・四〉
[類語]下働き下男下女召し使い奴隷

か‐ぶ【下部】

下の部分。下の方。「下部組織」⇔上部
[類語]下手

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精選版 日本国語大辞典 「下部」の意味・読み・例文・類語

しも‐べ【下部・僕】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 身分の低い者。また、従者。
    1. [初出の実例]「大唐の使人(つかひ)裴世清、下客(シモヘ)十二人」(出典:日本書紀(720)推古一六年四月(岩崎本平安中期訓))
  3. 雑事に使われる者。召使い。
    1. [初出の実例]「むつましき人々に仰せ事給ひ、しもべどもなど、つかはして、よもぎはらはせ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蓬生)
  4. 官に仕え、雑役に従った下役。下級の役人。
    1. [初出の実例]「只独り心細くて行けるに、庁の下部(しもべ)と云ふ放免共に会ぬ」(出典:今昔物語集(1120頃か)一六)

か‐ぶ【下部】

  1. 〘 名詞 〙 下の方。下の部分。
    1. [初出の実例]「下部の風大は日輪に遠しといへども温煖也」(出典:乾坤弁説(1656)利)
    2. [その他の文献]〔黄帝内経素問‐三部九候論〕

げ‐ぶ【下部】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 下方にあたる部分。かぶ。〔文明本節用集(室町中)〕
  3. 書物の巻数や冊数を三つに分けた場合の、その最後の巻。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「下部」の意味・わかりやすい解説

下部
しもべ

山梨県南西部、西八代郡(にしやつしろぐん)にあった旧町名(下部町(ちょう))。現在は南巨摩(みなみこま)郡身延(みのぶ)町の北東部を占める一地区。1954年(昭和29)町制施行。1956年久那土(くなど)、古関(ふるせき)、共和の3村と合併、2004年(平成16)南巨摩郡の中富(なかとみ)町、身延町と合併、身延町となる。下部の名称は下部温泉にちなむ。旧下部町域は、富士川左岸に位置し、JR身延線と国道300号が通じる。富士川の支流三沢川や下部川流域のわずかな平地と山腹を利用した山村で、町の約82%は山林で占められる。農業は茶、シイタケ栽培が主体であるが、ほとんどが兼業農家である。観光地に下部、常葉(ときわ)、神名(かんな)、湯沢などの温泉や本栖湖(もとすこ)、毛無(けなし)山などがある。丸畑(まるばたけ)は木喰上人(もくじきしょうにん)生誕の地で、ゆかりの遺跡や仏像が残る。江戸時代の民家門西家住宅(もんざいけじゅうたく)は国の重要文化財。湯之奥(ゆのおく)には、甲斐金山(かいきんざん)遺跡のうち中山金山があり国指定史跡となり、金山資料館もある。

横田忠夫

『『下部町誌』(1981・下部町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「下部」の意味・わかりやすい解説

下部 (しもべ)

検非違使庁下級官吏や,鎌倉・室町幕府の政所,問注所,侍所などに置かれた卑役の雑人。例えば,《今昔物語集》の説話の中に,ある冠者の窃盗事件に関連して,〈然れば捕えられて問われけるに,“然々の者の子也”と云ければ,検非違使の別当にその由を申すに,別当“慥に祖(おや)有る者也,祖に付て沙汰を致すべき也”と有ければ,庁の下部共此冠者を前に立て,祖の家に行て此の由を云て追捕せむと為る〉とあるのは,前者の例である。したがって,下部の一般的な職務内容は,野盗・山賊等の追跡・逮捕,獄囚に対する拷訊,流罪人の配所への護送などであった。この下部をその職務の性格によって分類すると,走下部(はしりしもべ)と放免の2種類になる。走下部とは,いわゆる走使いのことであり,放免とは,罪人の罪をゆるして,その代償に犯罪人の探索や密告収集活動に従事させたものである。一般に下部というとき,それはとくに後者のことを意味した。
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下部(旧町) (しもべ)

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百科事典マイペディア 「下部」の意味・わかりやすい解説

下部[町]【しもべ】

山梨県南部,西八代(にしやつしろ)郡の旧町。富士川の支流常葉(ときわ)川流域と天守(てんしゅ)山地の西斜面を占め,畑作を行い,林産物も産する。南部にある下部温泉(単純泉,28〜34℃)は武田信玄の隠し湯として知られ,国民保養温泉。身延(みのぶ)線が通じ,富士五湖身延山への観光基地。2004年9月南巨摩郡中富町と身延町へ編入。130.34km2。5314人(2003)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「下部」の意味・わかりやすい解説

下部
しもべ

山梨県南西部,富士川東岸にある地区。旧町名。 1954年町制。 1956年古関,久那土 (くなど) ,共和の3村と合体。 2004年9月,中富身延の2町と合併し,身延町となる。地名は地内に湧出する温泉付近の地名に「塩部」の名が多かったことに由来するといわれる。富士川とその支流常葉 (ときわ) 川沿いにわずかに平坦地があるほかは天守山地の西斜面で占められる。林業と畑作が主産業。南西部の下部川の谷に下部温泉があり,観光産業も重要。甲斐金山遺跡 (中山金山) は史跡に指定されている。

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世界大百科事典(旧版)内の下部の言及

【下部[町]】より

…天守山地の西斜面から富士川東岸までを占め,常葉(ときわ)川,三沢川が西流して富士川に注ぐ。〈信玄の隠し湯〉で知られる下部温泉(単純泉,28~34゜C)を中心とした古くからの温泉町で,身延山と富士五湖観光の基地となっている。温泉は外傷などに効能があるとされ,武田信玄が傷病兵を治療させたと伝えられる。…

※「下部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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