下﨟(読み)ゲロウ

デジタル大辞泉 「下﨟」の意味・読み・例文・類語

げ‐ろう〔‐ラフ〕【下×﨟】

修行年数の浅い僧。⇔上﨟じょうろう
官位身分の低い者。⇔上﨟
「同じ程、それより―の更衣たちは、まして安からず」〈桐壺
下人しもべ下郎げろう
「あやしき―なれども、聖人の戒めにかなへり」〈徒然・一〇九〉

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「下﨟」の意味・わかりやすい解説

下﨟
げろう

「﨟」は、僧侶(そうりょ)が一夏(げ)九十日の安居(あんご)を終えること(夏﨟(げろう))をいう仏語で、この回数によって受戒後の年数を数えた。本来は、その夏﨟を積むことの少なく、修行の浅い僧の称であったが、転じて、広く官位、身分の下級な者、年功の浅い者をいう。また、「下﨟男」「下﨟侍」「下﨟女房」「下﨟法師」のように、他の名詞の上につけて、身分が低い意を添える。「下﨟の蔵人(くろうど)」は、六位の蔵人の別称である。のちに「下郎」と書いて、人に使役される卑賤(ひせん)の下僕をいい、人をののしる場合にも用いた。対照語に「上﨟(じょうろう)」がある。

[兼築信行]

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世界大百科事典(旧版)内の下﨟の言及

【女房】より

…上皇以下諸院宮や摂関以下貴族の家に仕える女性も,上級の者は女房と称された。順徳天皇撰の《禁秘抄》などによれば,宮中の女房は,役職や出身によって上﨟・小上﨟・中﨟・下﨟に分けられ,上﨟は二位・三位の典侍(ないしのすけ)(尚侍(ないしのかみ)は事実上消滅)や大臣の女など,小上﨟は公卿の女,中﨟は掌侍・命婦(みようぶ)で殿上人・諸大夫の女,下﨟は侍や神官などの女であり,これらの区別により服装や職務に差が設けられた。また女房は本名をもってよばれず,官名や国名などをつけてよばれたが,それにも上記の身分に応じて差があった。…

※「下﨟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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