不三得七(読み)フサントクシチ

デジタル大辞泉 「不三得七」の意味・読み・例文・類語

ふさん‐とくしち【不三得七】

奈良平安時代、一国内田租の7割を国司責任で官に納めさせた制度災害による田租の免除制度を悪用して私腹を肥やす国司が増えたためにとられた措置

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精選版 日本国語大辞典 「不三得七」の意味・読み・例文・類語

ふさん‐とくしち【不三得七】

  1. 〘 名詞 〙 奈良・平安時代、租の徴収率の称。租は国内を通計して七割を納めれば全納とみなされ、残り三割は国司の裁量に任された。したがって、三割以内の減収中央に報告することなく国司が納入を免除することができた。
    1. [初出の実例]「収租之法復依不三得七之旧例」(出典類聚三代格‐一五・弘仁七年(816)一一月四日)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不三得七」の意味・わかりやすい解説

不三得七
ふさんとくしち

免三収七ともいう。奈良~平安時代の租税の減免制度。神亀1 (724) 年初めて設けられ,凶作の年には租の3割を国司の裁量に任せた。奈良時代を通じて行われたが,延暦 16 (797) 年不二得八とされ,同 19年不三得七が復活し,同 21年に再び不二得八,大同1 (806) 年に不三得七に改められた。国司はこの規定を利用して私利をはかることが多かった。

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