不便・不憫・不愍(読み)ふびん

精選版 日本国語大辞典 「不便・不憫・不愍」の意味・読み・例文・類語

ふ‐びん【不便・不憫・不愍】

〘名〙 (形動)
[一] (不便) 都合の悪いこと。また、そのさま。不都合。ふべん。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「夜昼候はせ給ふなること侍るらんと思ふこそ、いとふびんなれ」
[二] (「不憫・不愍」とも書くが、あて字)
① かわいそうなこと。気の毒なこと。また、そのさま。
源氏(1001‐14頃)野分「涙もろにものし給へば、いとふびんにこそ侍れ」
※読本・昔話稲妻表紙(1806)一「忠義の為とはいひながら、科なきおことを無代に殺せし、不便(フビン)さよ」
② かわいいと思うこと。愛憐の情を感じること。また、そのさま。
※宇津保(970‐999頃)吹上上「いとふびんなる人から、仲忠の朝臣と等しくなん、かたち・心・身の才侍る」
[補注](一)に関して「不便」の読みは、「ふびん」「ふべん」の両様あるが、近代以降は「ふべん」が一般的であるため、近代の例は「ふべん」の項に挙げた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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