人工的に不妊の状態にする手術のことで,女性に対するものと男性に対するものとがある。
一般的には卵管不妊手術が行われる。開腹による腹式と腟から切開を行う腟式卵管不妊手術があるが,手術による影響が少ない腟式で行われることが多い。術式には次のものがある。(1)マドレーネル法 卵管峡部を圧迫し,結紮(けつさつ)する方法。(2)卵管の一部切除法 卵管蹄係をつくり,それを結紮し,蹄係の先端部で卵管を切除するものをポメロイ法という。(3)卵管間質部楔状切除法。(4)全卵管摘出術など。このなかで(1)(2)の方法が一般的であるが,これらのものをいろいろと改良した方法が発表されている。術後の避妊率はほぼ100%といえるが,なかに再開通,結紮不全などにより妊娠するものがある。
執筆者:佐藤 和雄
精子の通路を遮断することによって避妊の目的が達せられるので,精管切除術が一般に行われている。精管切除術は局所麻酔のもとで陰茎根部付近の陰囊内精管を露出させ,これを切断する方法で,不妊手術として優れている。俗にパイプ・カットなどと呼ばれている。しかし,ときに切断断端が相互に結合して再開通が起こることも考えられるので,この点に関して十分配慮されなければならない。手術後の造精機能は一般に一過性に障害を受けるとする説と進行性障害をきたすとする説があり,まだ決定をみていない。なお精管切除術施行に代わって,精管にポリプロピレン製の装置や銅線を挿入する方法も行われている。精管切除術施行後,なんらかの理由で再度子どもが欲しくなった場合は切断断端部を吻合(ふんごう)して精管を再開通させることも可能である。
→避妊
執筆者:小磯 謙吉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…一方,家族計画family planningは,その家族にとって,いつごろ何人の子をもつかが問題となる語であるため,避妊とは意味内容が異なる。また不妊手術との関係でいえば,避妊は中止すれば妊娠が可能であり,一方,不妊手術は最も確実だがそのままでは不可逆的である点で避妊とは異なった性格をもっている。
[避妊法の歴史]
古来,人間はさまざまな方法を用いて,避妊の努力を行ってきた。…
※「不妊手術」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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