不定愁訴(読み)フテイシュウソ

デジタル大辞泉 「不定愁訴」の意味・読み・例文・類語

ふてい‐しゅうそ〔‐シウソ〕【不定愁訴】

特定病気としてまとめられない漠然としたからだの不調の訴え。頭が重い、疲れやすい、食欲がないなど。

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精選版 日本国語大辞典 「不定愁訴」の意味・読み・例文・類語

ふてい‐しゅうそ‥シウソ【不定愁訴】

  1. 〘 名詞 〙 特定の臓器または疾患関係のない、頭痛肩こり、いらいら、心悸亢進、食欲不振などの漠然とした病的な訴え。
    1. [初出の実例]「どんな人間でも、その人なりに移り気なものだ。どなったり、『不定愁訴』もある」(出典:科学大予言(1983)〈武谷三男〉三)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「不定愁訴」の意味・わかりやすい解説

不定愁訴
ふていしゅうそ

一つの疾患としてまとめられない種々の主観的訴えで、漠然とした身体的愁訴が主体となっていながら他覚的に器質的疾患の裏づけができない場合をいう。たとえば、動悸(どうき)、めまい、頭痛、頭重感、全身倦怠(けんたい)感、胸部圧迫感、下痢、振戦(震え)などのうち、二つまたは三つ以上、あるいはこれらの種々な組合せを訴えるわけで、更年期のときによくみられ、更年期障害を不定愁訴症候群とよぶこともある。

 不定愁訴を臨床的に分類すると、抑うつ症型、神経症型、心因性自律神経失調型、本態性自律神経失調型に分けられるが、もっとも重要なことは器質的疾患、たとえば肺結核初期高血圧、本態性低血圧、潜在性心不全、貧血てんかん甲状腺(せん)疾患、副腎(ふくじん)皮質疾患、特発性浮腫(ふしゅ)などを除外診断することで、必要に応じて検査を繰り返し行う。治療としては、向精神薬を主体に心身症の治療を併用する。

[新井正夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「不定愁訴」の意味・わかりやすい解説

不定愁訴 (ふていしゅうそ)

漠然とした身体の不全感があり,動悸,息ぎれ,発汗,めまい感,頭痛,吐き気,食欲不振,不眠,手足のしびれなどを訴えるものをいう。心臓疾患,高血圧,消化器系疾患,甲状腺機能障害をはじめとする内分泌疾患などのさまざまな器質的疾患の初期においてみられることがある。またうつ病などでもみられる。したがって,これらの疾患の可能性を考えて鑑別しなければならない。一方,特別な疾患なしに上記のような漠然とした体の不調を訴えるものもある。どちらかといえば女性に多く,自分の健康について不安を抱く心気症的傾向の人に多い。このような場合の治療としては,特別な疾患のないことをよく説明し,必要があればジアゼパムなどの精神安定剤を投与する。また自律訓練法などの精神療法を行うこともある。
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家庭医学館 「不定愁訴」の解説

ふていしゅうそ【不定愁訴】

 違和感を感じ、それを口で表現することを愁訴(しゅうそ)といいますが、その違和感は、本人だけが感じる自覚症状であり、他人にはわからないものです。他人からみてもわかる他覚症状があっても、本人が訴える症状とは関係がないことも多いものです。このような愁訴を、不定愁訴といいます。
 この愁訴の特徴として、1つの症状が長く続くことは少なく、日によって変わることが多かったり、何種類もの愁訴を同時に訴えたりすることがあります。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不定愁訴」の意味・わかりやすい解説

不定愁訴
ふていしゅうそ

はっきりした理由や原因がとらえられないが,頭が重い,肩が凝る,腰が痛い,いらいらするというような患者の訴え,またその症状をさす臨床用語。ゆるいストレス状態とみることもできる。

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