世代(読み)セダイ(英語表記)generation

翻訳|generation

デジタル大辞泉 「世代」の意味・読み・例文・類語

せ‐だい【世代】

《「せたい」とも》
親から子、孫へと引き継がれるそれぞれの代。ふつう約30年を1世代または1代と数える。だい。「息子の世代になる」「世代が変わる」
同時代に生まれ、共通した考え方と感じ方をもつ人々。ある年代層。ジェネレーション。「若い世代」「世代間の意識のずれ」
生物が母体を離れてから、成熟して生殖機能を終わるまでの期間。また、ほぼ同時期に出生した個体群
同時期に存在し、同系統の様式である、機械類の型。「第二世代コードレス電話」
[類語]年代ジェネレーション

せい‐だい【世代】

せだい(世代)

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精選版 日本国語大辞典 「世代」の意味・読み・例文・類語

せ‐だい【世代】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「せたい」とも )
  2. 時代。世々(よよ)代々。せいだい。
    1. [初出の実例]「学問稽古能芸も無用すよと云ぞ。世代をにく云者が書たとかうかき留たぞ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)三)
    2. [その他の文献]〔漢書‐外戚恩沢侯表〕
  3. 人が親の跡を継いでから、子に譲るまでの期間。約三〇年。
  4. 生年や成長の時期によって区別した年代の区切り。共通の時代的経験をもつことによって、そこになんらかの共通の意識、あるいは共通の社会的行動様式が認められる年齢層。また、その人々。ジェネレーション。
    1. [初出の実例]「若い世代の作家たちが、それぞれに異った身ぶりではあるが、みな一様に〈略〉何かに思ひ屈してゐる」(出典:目撃者の反省(1941)〈杉山英樹〉)
  5. 生物が母体を離れてから、生殖機能を終えるまでの間をいう。

せい‐だい【世代】

  1. 〘 名詞 〙せだい(世代)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「世代」の意味・わかりやすい解説

世代
せだい
generation

常識的には、一定の年齢帯に属する人々をまとめて同時代者と考える場合にこのことばを使う。父の世代とか子の世代とかいった言い方をごく普通にする場合は、同じ時代に生活する人々の総称と考えてよい。しかし、社会学などではもうすこし限定して使用することが多い。「出生時期がほぼ同じで歴史的体験を共有し、ために類似したものの見方や感じ方、それによく似た行動様式を示す一群の同時代者」と定義できる。感受性の鋭い青少年期をともにした同時代者の間では、確かに共通の話題があり、共通した時代感覚をもっているのが普通である。哲学者ディルタイは、こういった同時代者の共通した感覚が、たとえばドイツ・ロマン主義のような文化運動を推進する内面的原理であったと強調している。彼の場合に限らず、世代の概念が、社会変動を分析する際有効に働くのは、それが大きな歴史的変動と個人の生活史的体験とをつなぐ媒介概念だからである。

 もっとも、この意味での1世代をどのくらいの年代幅でくくるかは、時代状況によって当然違ってくる。世代ギャップがうんぬんされる昨今、この時代幅はおそらく10年をもってしても長すぎるといった感じ方を多くの人がしているであろう。「5歳下の連中とはもう話があわない」とか、「彼は共通一次世代だ」などという場合、1世代としてくくられている年代幅は5年以下にまで短縮されている。社会学者のマンハイムは、「世代統一」の可能性をもった歴史的体験の共通性を、同じ「世代的状況」にある人々とよび、その時間幅を30年と見積もっているが、つねにそのようにいえるわけではない。近年の日本でみても、30年のうちにいくつもの異質な世代的状況が交替したと考えるべきである。もちろん、何年の幅をとろうと、世代をもってもっとも自然な歴史科学の区分軸だとする考え方は成り立つ。かりに30年説をとっていちおうの時代区分をしておいて、かえって同じ世代内部の断絶を浮かび上がらせるという手法もあるだろう。ほぼ同じ時代に生まれ、したがって同じ歴史的体験をもったと思われる人々の間に、かくも大きい断絶があるのはなにゆえか。ここから、生活地域の特異性、性による違い、所属階層の差異などが自然に浮かび上がってくる。

 世代内断絶・世代間断絶の区別とともに、世代内移動・世代間移動の区別も、社会科学ではよく使う。同一人物の生涯にわたっての社会移動(とくに階層移動)を世代内移動とよび、親子2代にわたっての社会的移動を世代間移動とよんで区別するのである。日本は昔から、たいていの親が子供には教育をつけてやりたいと願った。自分の世代内移動を犠牲にしても、世代間移動に期待したのである。日本の近代化はこの形での解放性によるところ大であった。

[大村英昭]

『K・マンハイム著、鈴木広訳『世代』(1958・誠信書房)』『H・H・ガース、C・W・ミルズ著、古城利明・杉森創吉訳『性格と社会構造』(1970・青木書店)』

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改訂新版 世界大百科事典 「世代」の意味・わかりやすい解説

世代 (せだい)
generation

一般には,出生期をほぼ等しくする年齢層,したがってほぼ同じライフサイクルに属す〈同年齢集団cohort〉を指し,それぞれ33年余の時間幅をもつ未成年,壮年,老年の3世代が一つの〈時代century〉を構成するとされているが,このような生理学的規定だけでは十分でない。この〈同年齢集団〉に属す人々が,その人間形成期,とくに政治意識の形成期--通常それは10歳代の後半か20歳代の前半--において,同じ歴史的出来事や政治文化を体験し,希望や失望を共感するなかで,世界観やライフスタイルの土台となるような〈準拠枠組みframe of reference〉を共有するにいたるとき,〈純粋に質的にのみ体験される内面的時間〉としての世代が生まれるのである。

 このような意味での世代が歴史に登場したのは,18世紀中葉以降の急激な社会変動の進展によって,統一的な価値観や規範が解体し,親の代から子の代への文化の継承や社会化が動揺しはじめた時期においてである。とくに外面的道徳や権威主義的因襲を退けて内面的道徳や心情的本来性を生きることを決断した〈多感主義の世代〉と,フランス革命を自己の内的運命とかかわらせて受け取った〈ロマン主義の世代〉が,歴史形成の動因としての青年世代というテーマを登場させることになった。そして,このテーマが劇的な形で演じられたのが,1960年代後半から70年代前半にかけて,先進的産業社会で噴出した青年反逆現象のなかにおいてだった。かつての多感主義とロマン主義に加えて,ポピュリズム的心情をたぎらせる60年代の青年は,〈テクノクラート的合理主義〉を拒否して,アイデンティティ,自立性,共同性,意味の追求,自己表出,参加民主主義などを合言葉にした〈本来性の運動authentic movement〉に自己投企した。それは単なる政治制度の変革というよりも,より根底的な価値観やライフスタイルの変革を志向するものであっただけに,既存秩序の側の大規模な社会統制の発動を誘発し,70年代中葉には社会の前面から姿を消さざるをえなくなった。しかし,この〈対抗文化の世代〉が共有する固有の〈準拠枠組み〉は,法と秩序をスローガンにした抑圧の時代にあっても持続しつづけ,エコロジー,反差別,反核平和,地域主義等の運動のなかで自己主張を続けている。

 ところで,世代は他の対立する世代との間で葛藤を引き起こす(世代断絶)ばかりでなく,同年齢集団内部でも葛藤と不統一を引き起こすものである。たとえば,60年代後半の青年の場合,その内部には〈体制の全面否定〉へと志向するリベラル・ラディカルな中産階級の出身者,〈支配的文化への順応〉を心がける伝統的な労働者階級や下層階級の出身者,〈体制内での改革〉を要求する少数民族や社会的弱者が存在しており,そこには連帯や統一よりも分裂や葛藤が存在していたことも事実である。したがって,世代現象の正しい理解のためには,階級ラインと世代ラインを結合した観点が必要である。なお,今後に予想される高齢化社会では,これまでほとんど無視されてきている老年世代のはらむ問題が前面化することも疑いえない。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「世代」の意味・わかりやすい解説

世代
せだい
generation

普通,この用語は生殖的な序列に示される父と子との年齢的な差を基準として形成された人口学的な集団概念のことをいう。その社会学的意味を詳細に検討したのは K.マンハイムである。彼は (1) 自然的な年齢の同時性をこえて歴史的,社会的な空間への帰属を含む人口的集団──世代的状況,(2) こうした世代的状況のなかで歴史的,社会的に共通した運命への参与──世代的関連,(3) そして世代的関連において体験的,行動的に特異の様式を表現する集団──世代的統一,という3つの形相において世代をとらえ,世代的関連の多元性のなかで世代統一が成立することを主張した。こうして世代という概念は単なる人口の年齢帯をさすものとしてよりも,出生,成長の時期を同じくしたことによって歴史的体験を共有した人々,つまり同時代人をさすようになった。世代の内部には類似性と共感の認識があり,他の世代との間には疎隔感が生じやすい。

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デジタル大辞泉プラス 「世代」の解説

世代

1955年公開のポーランド映画。原題《Pokolenie》。アンジェイ・ワイダの監督デビュー作。つづく「地下水道」「灰とダイヤモンド」とあわせ、“抵抗三部作”と呼ばれる。

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普及版 字通 「世代」の読み・字形・画数・意味

【世代】せだい

よよ。

字通「世」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の世代の言及

【コーホート】より

…期間を1年に限らず,5年間としたり,年齢5歳階級別人口の一つの級に属する人口を,一つのコーホートと考えたり(年齢コーホート),また出生集団に限らず,特定期間に結婚した夫婦集団を結婚コーホートと考えることもある。コーホートは,今まで一般に使用されてきた世代generationにあたるものであるが,世代概念は社会学の広い意義をもっているため,人口学上の特有のものとして区別するためにコーホートの概念が使用されるに至った。ある年次に生まれた出生女児集団が一生涯にどのくらいの子どもを産んだか,またある年次の出生の人口がどのような死亡率で死亡していったかを計算する場合,これを〈実際コーホートactual cohort〉の出生力とか死亡率(あるいは生残率)とよばれる。…

【コーホート】より

…期間を1年に限らず,5年間としたり,年齢5歳階級別人口の一つの級に属する人口を,一つのコーホートと考えたり(年齢コーホート),また出生集団に限らず,特定期間に結婚した夫婦集団を結婚コーホートと考えることもある。コーホートは,今まで一般に使用されてきた世代generationにあたるものであるが,世代概念は社会学の広い意義をもっているため,人口学上の特有のものとして区別するためにコーホートの概念が使用されるに至った。ある年次に生まれた出生女児集団が一生涯にどのくらいの子どもを産んだか,またある年次の出生の人口がどのような死亡率で死亡していったかを計算する場合,これを〈実際コーホートactual cohort〉の出生力とか死亡率(あるいは生残率)とよばれる。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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