…特権階級の,しかもその一部のものでしかなかった氷を一般人が享受するためには,まず天然氷の大量輸送が必要であった。初めてそれを敢行したのは,幕末維新期に屠牛(とぎゆう)場や牛肉店をも開いて,日本食生活史上に大きな足跡をのこした中川嘉兵衛であった。彼は1862年(文久2)から横浜馬車道に氷屋を開いていたというが,横浜開港後アメリカ人がボストンから氷を舶載して大きな利益をあげた例にかんがみ,71年(明治4)ごろには函館に製氷場を設け,そこでつくった天然氷を船に積んで大量に回漕し,安価に販売して好評を博した。…
※「中川嘉兵衛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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