中村氏(読み)なかむらうじ

改訂新版 世界大百科事典 「中村氏」の意味・わかりやすい解説

中村氏 (なかむらうじ)

相模国中村荘を本領とする中世武家。桓武平氏。1079年(承暦3)権大夫為季に殺された押領使景平を祖とするともいわれるが,1144年(天養1)大庭(おおば)御厨を侵略した源義朝の手勢中にみえる中村荘司宗平が,中村氏の史料上の初見である。宗平は80年(治承4)10月再挙した源頼朝が相模国府に入るにあたって,頼朝の逗留する館の修理を命ぜられ,さらに86年(文治2)には相模国内有力百姓への人別1斗の白米給与を,三浦義澄とともに挙行している。これらのことは,中村宗平が三浦義澄と同様に相模国の国衙の有力な在庁官人であったことを示す。宗平の長男重平は中村荘を相伝して中村太郎と称し,次男の実平は土肥郷三男の宗遠は土屋(郷?),四男の友平は二宮河勾(かわわ)荘,五男の頼平は中村荘に北接する堺を分領しておのおのの名字の地とし,独立発展した。
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