朝日日本歴史人物事典 「中村芝翫(4代)」の解説
中村芝翫(4代)
生年:文政13.3.3(1830.3.26)
幕末・明治前期の歌舞伎役者。俳名児雀,芝賞など。屋号成駒屋。歌舞伎役者中村富四郎の子として大坂道頓堀に生まれる。幼名玉太郎。4代目中村歌右衛門の養子となり,初代中村福助から万延1(1860)年芝翫を襲名。浮世絵師豊原国周に「幾ら骨を折って描いても実物の方が綺麗」と嘆息させた立派な風貌,古風な様式美と愛嬌溢れる芸風で絶大の人気を誇り,歌舞伎界の最高位にあったが,晩年はやや時代に遅れた形となった。舞踊に長じ,立役を本領としながら女形も兼ね,「大芝翫」の尊称を持つ。芝翫の名跡は,平成期の7代目におよぶ。<参考文献>伊原敏郎『明治演劇史』
(石橋健一郎)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報