朝日日本歴史人物事典 「中村雀右衛門(初代)」の解説
中村雀右衛門(初代)
生年:文化3(1806)
幕末期の歌舞伎役者。俳名芝斗。屋号江戸屋。大坂生まれ。4代目中村歌右衛門の愛弟子。初名中村源次。子供芝居のときから敵役専門で,21歳のとき芝蔵と改名して中芝居で修業する。文政11(1828)年23歳で師と共に江戸に下った。6年後に帰坂して大芝居に出,35歳以後はもっぱら大坂大西芝居に出て大役を勤めた。弘化3(1846)年,儀右衛門と改名し名古屋の芝居で活躍した。嘉永4(1851)年帰坂し雀右衛門と改名,このころ実悪大上上吉となった。演技力は優れていたが男ぶりが悪く,しばしば下品だと評された。しかし晩年には「実悪の開山」と称されるほどになった。「夏祭浪花鑑」の義平次,「忠臣蔵」の本蔵など当たり役は多い。2代目は門弟の3代目中村芝雀 が継いだ。
(青木繁)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報