動物の胚発生中に生ずる胚葉の一つ。嚢(のう)胚期(あるいはこれに相当する時期)以後のある期間、外胚葉と内胚葉の間に広がる層状の細胞集団で、扁形(へんけい)動物以上にみられる。体制の単純な動物では層をなすほど密集していないので、中胚葉細胞ということもある。中胚葉は動物によって、原腸陥入時、原口周辺の細胞の分裂によって生ずる場合(扁形、袋形(たいけい)、環形、軟体、節足の各動物)と、原腸の一部から分離する場合(毛顎(もうがく)、棘皮(きょくひ)、原索、脊椎(せきつい)の各動物)がある。中胚葉は将来、体を支持する骨、軟骨、結合組織などの組織、体の内部環境を維持する、心臓を含めた血管系、リンパ系、排出器官、内分泌器官のうちのあるもの、および筋組織などに分化する。
[竹内重夫]
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…間充織はさまざまな組織や器官の結合組織系の形成にあずかる重要な細胞集団であるが,無脊椎動物のカイメンやクラゲには成体になっても間充織をもつものがある。間充織を中胚葉に含めるか否かについては,発生学的にはむずかしい問題がある。たとえば,腔腸動物では三つの胚葉が区別できるという説もあるが,これは間充織を中胚葉とする考えに基づいている。…
…その結果,内外二つの細胞層,およびこの両者の間に位置する上皮性または間充織性の細胞が出現する。これらのうち,外に面した細胞層を外胚葉ectoderm,内側に向いた層を内胚葉endoderm,両者に囲まれて直接外界に接することのない細胞群を中胚葉mesodermとよぶ。受精からこの三胚葉の分化までの過程の具体的な様相はさまざまであっても,すべての多細胞動物に共通している。…
※「中胚葉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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