乙鶴(読み)おとづる

改訂新版 世界大百科事典 「乙鶴」の意味・わかりやすい解説

乙鶴 (おとづる)

14世紀中ごろの曲舞(くせまい)の芸人。白拍子系統の遊芸で南北朝時代に流行した曲舞には諸派があったが,奈良百万芸祖とする女曲舞の賀歌女(かがじよ)系のみが室町期まで続いた。その賀歌女の一人が乙鶴で,経歴不明(1349年(正平4・貞和5)に春日神社巫女みこ)だった乙鶴御前と同人と見る説もある)ながら,大和猿楽観阿弥は,乙鶴に曲舞を学び,曲舞の拍子のおもしろさを能の謡(うたい)に導入して新風の謡を歌い出し,彼の成功の基盤としている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「乙鶴」の解説

乙鶴 おとづる

?-? 南北朝時代の芸能者。
奈良の百万を流祖とする女曲舞(おんなくせまい),賀歌女(かがじょ)系のひとり。大和猿楽の観阿弥(1333-84)に曲舞拍子の面白さをおしえ,能の謡(うたい)に影響をあたえた。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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