九日市庭(読み)ここのかいちば

日本歴史地名大系 「九日市庭」の解説

九日市庭
ここのかいちば

九日市場とも書き、単に九日市・九日ともよばれる。南北朝時代以降にみえる地名で、正平九年(一三五四)一〇月一一日付の伊達三郎蔵人宛石塔頼房軍勢催促状(伊達家文書)に、丹波攻撃のため南朝方の中国勢が「九日市庭」に到着したので、宿南しゆくなみ(現八鹿町)に馳せ寄せるよう促している。九日市とは毎月三度の九のつく日に開催されるいわゆる三斎市で、鎌倉時代後期にはすでに始まっていたと考えられ、場所は出石いずし川と円山まるやま川の合流点よりやや下流左岸の、現九日市上ここのかいちかみ町・同中町・同下町付近であろう。すでに町場か集落も形成されていて、軍勢の駐屯にも堪えたのであろう。永徳二年(一三八二)には、紀州熊野の権大僧都覚有が熊野社の旦那(信者)等を諸弟に配分した一跡配分目録(熊野那智大社文書)のなかに、「同国(但馬)九日市場金屋入道引旦那 同所絹屋入道一円」が含まれる。金屋・絹屋は九日市場に住む商人屋号で、同時に金物絹織物を扱っていることを示すのであろう。このような屋号をもつ商人が、多数居住していたものと思われる。しかし商人の居住を示す中世史料は実はこの一通のみで、九日・九日市の地名は合戦守護山名氏に関連して史料に表れる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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