九輪(読み)くりん

精選版 日本国語大辞典 「九輪」の意味・読み・例文・類語

く‐りん【九輪】

〘名〙 仏語五重塔などの頂上の、露盤の上の請花(うけばな)水煙(すいえん)との間に位置する九つの輪。空輪相輪ともいう。原型は古代インドに求められる。
平家(13C前)五「九輪空にかかやきし二基の塔、たちまちに煙となるこそ悲しけれ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「九輪」の意味・読み・例文・類語

く‐りん【九輪】

寺の塔の頂上部、露盤上の柱にある九つの輪装飾。相輪一部で、傘蓋さんがいの数が増して変形したもの。俗に相輪ともいう。宝輪。空輪。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「九輪」の意味・わかりやすい解説

九輪
くりん

塔の上層部である相輪の一部をいう。九重になっているので九輪と呼ばれるが,空中にあるので空輪 (くうりん) とも呼ばれる。もとはインドの貴人標幟である傘蓋 (さんがい) に由来し,その数が増して九輪となったものである。下から「一の輪」と数え,最上層の輪が「九の輪」と呼ばれる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の九輪の言及

【相輪】より

…九輪(くりん)ともいう。仏塔最上層の屋頂に立つ最上端部。…

【天蓋】より

…当時インドの王侯や貴族は炎暑や熱風,あるいは塵埃を避けるため,従者や下僕に傘蓋(さんがい)をかざさせたもので,貴人の外出には必需の品であった。サーンチーの仏塔をはじめ,多くの仏塔の頂上に2重,3重,あるいは5重,7重と円板を重ねたように見えるものは,多くの在俗の信者たちが寄進した傘を一木の刹(さつ)に連らね,これを頂上にかざしたものであるが,日本ではこれを相輪,九輪と呼ぶ。これもいわば天蓋の一種,あるいはその起源的なものといえる。…

※「九輪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android