普及版 字通 「乳(漢字)」の読み・字形・画数・意味
乳
常用漢字 8画
(旧字)
8画
[字訓] ちち・やしなう
[説文解字]
[甲骨文]
[字形] 会意
爪(そう)(手の指)+孔(こう)。孔は乳子の象。それに手を加えて愛撫している形。卜文の字形は女子が授乳していることを示す象形字で、爪の部分はおそらくもとその毛髪の形であろう。〔説文〕十二上に「人び鳥の子を生むをと曰ひ、獸にはと曰ふ」とし、字形について「孚(ふ)に從ひ、(いつ)に從ふ。なるは玄鳥(燕)なり。堂令に、玄鳥至るの日、高(かうばい)に祠りて以て子をふ。故にはに從ふ。~は春に來り、秋に去る。生を開くの候鳥なり」とあり、その俗は〔礼記、月令〕仲春の月にしるされている。〔説文〕の字説はその俗に附会したものであるが、字はに従う形ではない。〔説文〕は母字条十二下に「牧(やしな)ふなり。女に從ひ、子を(いだ)く形に象る。一に曰く、子にするに象るなり」とあり、その一曰の義は、の字の解に施すべきものである。
[訓義]
1. ちち、ちちしる、ちぶさ。
2. ちちをのます、やしなう。
3. いつくしむ、そだてる。
4. 子をうむ。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕 智(ち) 〔名義抄〕 チ・ヤシナフ・チノマス 〔立〕 ワタル・チ・キハマル・イトマ・ヤシナフ
[部首]
〔説文〕〔玉〕ともに部に孔・を属し、を請子の候鳥である鳥として、孔・の字説を試みているが、孔は生まれた子の髪の一部に剃りを入れる形で、生子儀礼の一、は抱いて授乳する形。いずれもとは関係のない字である。
[語系]
njia、nは声近く、(だい)は正字をに作り、婦人の尊称。また乳房や乳汁をという。
[熟語]
乳医▶・乳嫗▶・乳柑▶・乳巌▶・乳気▶・乳魚▶・乳駒▶・乳虎▶・乳子▶・乳者▶・乳酒▶・乳臭▶・乳粥▶・乳牀▶・乳人▶・乳石▶・乳姐▶・乳頭▶・乳竇▶・乳洞▶・乳犢▶・乳婢▶・乳糜▶・乳腐▶・乳保▶・乳哺▶・乳母▶・乳房▶・乳養▶・乳酪▶・乳媼▶
[下接語]
牛乳・香乳・字乳・乳・授乳・獣乳・鍾乳・新乳・生乳・粉乳・哺乳・母乳・離乳・練乳
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報