乳房パジェット病(読み)にゅうぼうぱじぇっとびょう

家庭医学館 「乳房パジェット病」の解説

にゅうぼうぱじぇっとびょう【乳房パジェット病】

 乳房パジェット(ページェット)病は、乳頭(にゅうとう)・乳輪(にゅうりん)にびらん(ただれ)をともなう湿疹(しっしん)ができる乳がんの特殊な型で、乳がん全体の1~2%というまれな病気です。
 発病年齢は乳がんよりやや高く、50歳代にもっとも多くみられ、ついで60歳代、40歳代と続きます。
 初期症状は多くの場合、乳頭やその周囲に、境界が比較的はっきりした軽い紅色や紅褐色の湿疹のようなものができることで始まることが多く、そのほとんどに軽いかゆみをともないます。ときには、かゆみだけで、皮膚の変化がみつからないこともありますので、注意が必要です。
 進行すると、乳頭はしだいに変形し、乳輪も不明瞭になります。さらに進行拡大すると、乳房全体が紅色の湿疹や、ジメジメしたただれなどでおおわれるまでになります。
 初めは、乳頭・乳輪の急性湿疹やたむし(頑癬(がんせん)(「股部白癬(頑癬/いんきんたむし)」))などとまちがえられやすいので、長期間治療しても症状の改善がみられないときや、かさぶたなどができるようなことがあったら、皮膚科の医師や、乳腺(にゅうせん)専門の医師にみてもらいましょう。
 診断は、顕微鏡による乳頭分泌物(にゅうとうぶんぴつぶつ)やかさぶたなどの皮膚の細胞診断が決め手となりますが、マンモグラフィー超音波検査は、あまり有効ではありません。
 治療は、原則として手術による切除ですが、通常の乳がんに準じて行なわれます。
 手術以外の治療法としては、放射線療法、抗がん剤などの局所注射療法、レーザー光線による焼灼(しょうしゃく)療法、液体窒素(えきたいちっそ)を用いた凍結療法などがあります。また最近では、インターフェロン療法などの特殊な免疫療法も行なわれています。

出典 小学館家庭医学館について 情報