家庭医学館 「乳管拡張症」の解説
にゅうかんかくちょうしょう【乳管拡張症 Mammary Duct Ectasia】
比較的まれな疾患です。なんらかの原因で拡張した乳管へ分泌液(ぶんぴつえき)がたまり、この分解産物の化学的刺激により乳管の周囲に炎症がおこる病気です。乳管拡張症は閉経前後に発症します。
乳管拡張の原因は、乳管壁が破壊されておこる二次的な変化と考えられます。乳管壁の破壊のおもな原因は、若いときの乳管の慢性炎症で、病気としては慢性乳腺炎(まんせいにゅうせんえん)(「慢性乳腺炎」)が原因の1つと考えられます。なお、授乳との関係は少ないようです。
[症状]
非周期性の乳腺痛、乳頭(にゅうとう)からの異常分泌、乳頭陥没(にゅうとうかんぼつ)、乳輪下(にゅうりんか)のしこり、皮膚のただれ、へこみ、痛みなどがあります。しこりに触れるとかたく、境界が不明瞭で乳がんに類似しており、その横のわきの下に、腫(は)れたリンパ節を触れることがあります。
一般に、触診(しょくしん)、理学検査では乳がんとの鑑別が困難なので、外科の乳腺専門医の診察を受ける必要があります。
[治療]
マンモグラフィー(乳腺X線検査)、超音波検査、乳頭異常分泌液の細胞検査、さらに細菌検査を行なって、確定診断がつけば、拡張あるいは肥厚(ひこう)(厚みを増してふくれた状態)した乳管を含め、病巣(びょうそう)部位を切除します。