精選版 日本国語大辞典 「乾肉」の意味・読み・例文・類語
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保存や輸送の軽量化のため、天日、熱風、冷風、あるいは凍結乾燥などによって脱水した乾燥肉のこと。古代より世界各国で狩獲が行われていた時代からつくられていたもので、古くは、屋内の炉の上や屋外などに生(なま)肉を吊(つ)るしてつくったものと考えられる。日本では『延喜式(えんぎしき)』(927)にシカの脯(ほしし)(脯は乾燥肉のこと)、イノシシの脯の記載がある。中国の肉乾(ロウカン)や肉脯(ロウフー)、アメリカ先住民の野牛の保存食品ペミカンpemmicanや、これをヒントに商品化したジャーキーjerkyなども乾肉の例である。また、トルコ、エジプト地方で古くから製造されているものにバステルマ(basterma、pastirma)がある。原料は牛肉で、ハムなどと同じように塩漬けにしたあと、香辛料を肉の表面に塗布して乾燥したものである。生あるいはゆでて乾燥したものと、味つけして乾燥したものがある。一般に、肉は乾燥すると硬化し、生肉にもどすことができにくいため、通常、乾燥したまま食用にされている。しかし、最近は凍結乾燥法で乾燥した場合、もどすことが可能で、カップ麺などインスタント食品に利用されている。広義にはサラミソーセージなどの乾燥食肉製品、千葉県特産の鯨肉の調味干し品である「クジラのたれ」も乾肉の一種である。
[河野友美・山口米子]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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