二人椀久(読み)ニニンワンキュウ

デジタル大辞泉 「二人椀久」の意味・読み・例文・類語

ににんわんきゅう〔ニニンワンキウ〕【二人椀久】

歌舞伎舞踊長唄本名題其面影二人椀久」。作詞者未詳、初世錦屋金蔵作曲。安永3年(1774)江戸市村座初演。狂乱した椀久の夢の中に恋しい傾城けいせい松山が現れる。

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精選版 日本国語大辞典 「二人椀久」の意味・読み・例文・類語

ににんわんきゅう ニニンワンキウ【二人椀久】

歌舞伎所作事。長唄。作詞者未詳。
[一] 杵屋新右衛門作曲。享保一九年(一七三四)江戸市村座初演。椀屋久兵衛と傾城松山との連れ舞いがあり、松山が男女身振りの仕分けを踊る。
[二] 錦屋金蔵作曲。「其面影(そのおもかげ)二人椀久」の通称。安永三年(一七七四)江戸市村座初演。(一)で椀久を演じた八代目市村羽左衛門の一三回忌追善に九代目が演じたもの。詞章前作の前に補足し、椀久が狂気してさまよう振りにする。この曲が現在も奏される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「二人椀久」の意味・わかりやすい解説

二人椀久
ににんわんきゅう

歌舞伎舞踊曲。長唄。本名題『其面影 (そのおもかげ) 二人椀久』。作詞者不詳,作曲1世錦屋金蔵。安永3 (1774) 年江戸市村座で,9世市村羽左衛門と瀬川富三郎 (3世瀬川菊之丞) により初演。8世羽左衛門 13回忌追善の演目ともいわれる。椀久物の一つ。傾城松山恋しさに狂乱した椀久が,松山の幻影とありし日を思い浮べて楽しく踊り興じるというもの。椀久の羽織を着た松山が椀久と連れ舞をするさまを「2人の椀久」に見立てたもので,8世,9世羽左衛門の関係を生かしている。二上りから三下りと転調。能『井筒』のクセを取入れた唄や,後半の廓情緒を三味線と大鼓小鼓で演奏する部分 (タマ) など技巧を凝らした曲で,踊り地に太鼓の入らないのも特徴。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「二人椀久」の意味・わかりやすい解説

二人椀久
ににんわんきゅう

歌舞伎(かぶき)舞踊。長唄(ながうた)。本名題(なだい)『其面影(そのおもかげ)二人椀久』。作詞者不詳。初世錦屋(にしきや)金蔵作曲。1774年(安永3)5月、江戸・市村座で8世市村羽左衛門(うざえもん)の追善演目として、9世羽左衛門の椀久、瀬川富三郎(3世菊之丞(きくのじょう))の松山(まつやま)で初演。大坂の豪商椀屋久兵衛の逸話に取材。傾城(けいせい)松山との仲を裂かれ、心狂った椀久が放浪のうちに松山の幻と出会い、昔の廓話(くるわばなし)をするという内容。題名は、旧来の振付けに松山が椀久の羽織を着て踊るところがあったのに由来するが、近年は新しい振付けが多く行われ、たいてい椀久が松山の裲襠(うちかけ)を着て踊るようになっている。

[松井俊諭]

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「二人椀久」の解説

二人椀久
(通称)
ににんわんきゅう

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
其面影二人椀久
初演
安永3.1(江戸・市村座(八代目市村羽左衛門十三回忌追善興行))

二人椀久
〔長唄〕
ににんわんきゅう

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
享保19.11(江戸・市村座)

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改訂新版 世界大百科事典 「二人椀久」の意味・わかりやすい解説

二人椀久 (ににんわんきゅう)

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