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中国山西省にある山脈の主峰五山を指す。《華厳経》の受持にともない,5世紀ころから文殊菩薩の住む清涼山にあたると信ぜられ,普賢菩薩の峨嵋山,観音の補陀落山とともに中国三大仏教聖地の一つとなった。浄土教の曇鸞(どんらん)がここに遊び聖跡に感じて出家した話は有名であるが,大塔院寺等いわゆる台中百ヶ寺の基礎が置かれたのも,このころである。窺基は弟子を率いて福田を行い,澄観は華厳寺で華厳,法華を講義,《華厳経疏》をあらわし,また高麗の慈蔵,北インドの仏陀波利,日本の玄昉(げんぼう)など外国僧の入山も相次いだ。ことに不空三蔵が金閣寺,玉華寺の営構と密教の興隆に尽力してから五台山の名はアジア各地に知られるようになり,日本の霊仙や円仁をはじめ,宋代にも盛算,奝然(ちようねん),成尋(じようじん)など足跡を残した者が多い。元代にラマ教が入り,清代にも政策上からラマ教を重んじたため,仏教のほか,ラマ教の色彩も濃い。
→仏光寺
執筆者:藤善 真澄
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…宋代以後,禅宗を除いて,仏教は一般に衰退したのに,観音信仰だけはあらゆる階層に浸透流行し,一般民衆の生活と深い関連をもったのである。観音の霊場として最も崇信されたのは,浙江省舟山列島の普陀山で,文殊をまつる山西省の五台山,普賢をまつる四川省の峨嵋山とともに,天下の三大仏教道場とされた。とくに海上商人や漁師の信仰をうけたこの普陀山の開基は,日本の入唐僧の慧萼と伝えられている。…
…これに対して仏教の巡礼路は,釈迦の誕生(ルンビニー),成道(ブッダガヤー),説法(ワーラナシー),入滅(クシナガラ)を記念する四大聖地を結びつけたものであるが,そのコースがさきの《マハーバーラタ》に記されている巡礼路の一部と重なっているのは興味深い。中国では古くから天台山や五台山への巡拝が発達し,その伝統は日本にも影響して,とくに修行の場としての霊山を中心に受け継がれていったが,中世以降になると〈観音三十三所巡礼〉と〈四国八十八ヵ所遍路〉が庶民の間に盛んになった。広い地域に散在する寺院や霊場をゆるやかな円運動を描いて巡るところはインドの場合と同じであるが,カミやホトケに見守られつつ行脚する旅であるところに特色がみられる。…
※「五台山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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