朝日日本歴史人物事典 「五条国永」の解説
五条国永
平安中期の刀工。永延(987~89)ごろの三条宗近を祖とする三条派の刀工で,兼永の子と伝え,天喜(1053~58)ごろ京五条に住した。有銘作は太刀が3口,剣が1口と少ない。しかも銘の書風が異なるものが少なくとも三様見られる。代表作は仙台伊達家から明治天皇に献上された,『享保名物帖』にも所載される名物「鶴丸国永」の太刀である。これは細身,小鋒で,反りの高い優美な太刀姿を示し,鍛えは小板目肌が精美で,小乱れに小丁字を交えた刃文を焼き,三条派の作品では最も洗練度が高いと評価される。
(原田一敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報