人知原理論(読み)じんちげんりろん(英語表記)Treatise Concerning Principles of Human Knowledge

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「人知原理論」の意味・わかりやすい解説

人知原理論
じんちげんりろん
Treatise Concerning Principles of Human Knowledge

イギリスの哲学者ジョージ・バークリー主著で,1710年彼が 25歳のとき公刊された。 J.ロック認識論における精神に依存した観念と,それ自体独立して存在する物との間の二元論という困難を克服すべく,彼は物的実体の形而上学的存在を否定して,物がただ,その精神のうちで知覚された内容としての観念としてのみあるということを主張する。つまり物的対象は観念あるいは観念の集合なのであり,実在性は,精神,観念および物的対象からなるのではなく,精神とそれがつくりだす観念とからなるとして,主観的観念論立場をとった。しかし,この観念が,一定秩序をそなえていることから,本来的にはそれが有限な人間の精神の所産ではなく神の精神の所産とし,人間の観念は神の精神に存する永遠な観念の模型であり,したがって外界は神の観念として存すると考えた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

土砂災害

大雨や地震が誘因となって起こる土石流・地滑り・がけ崩れや、火山の噴火に伴って発生する溶岩流・火砕流・火山泥流などによって、人の生命や財産が脅かされる災害。...

土砂災害の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android