今川氏居館(読み)いまがわしきよかん

日本歴史地名大系 「今川氏居館」の解説

今川氏居館
いまがわしきよかん

戦国大名となった今川氏の居館。暦応元年(一三三八)今川範国が駿河守護に補任され(「難太平記」など)、永禄一一年(一五六八)暮れに今川氏真が武田信玄によって駿河国を追われるまで(「享禄以来年代記」など)、およそ二三〇年間今川氏が同国を領国として掌握していた。その間、国衙機構も吸収し、守護から戦国大名へと支配を強化していったが、その政務を取仕切った政庁がどこに存在したかについては必ずしも明らかではない。守護の政庁である政所は、多くの場合は国衙を継承・吸収して国府に置かれるのが通例である。しかし今川氏の場合、範国・範氏・泰範の三代あたりまでは、その政庁が駿河国府であった府中(駿府)に置かれていたのか、あるいは藤枝近辺にあったのか議論が分れる。範国は遠江守護も兼帯しており(建武元年一二月二九日「守護今川範国書下」秋鹿文書など)、その菩提寺は定光寺とか正光寺といわれており、定光寺なら遠江国府の見付みつけ(現磐田市)であり、正光寺なら相賀おおか(現島田市)である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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