仏教に由来する四字熟語

四字熟語を知る辞典 「仏教に由来する四字熟語」の解説

仏教に由来する四字熟語

昭和時代に活躍した喜劇俳優・榎本健一エノケン)は、音楽のセンスが抜群でした。映画「エノケンのほうかいぼう」(1938)では、悪僧・法界坊に扮し、軽快な曲に乗せてお経を読みます。

 〈南無阿弥陀仏 南無阿弥陀

 生者必滅 しゃじょう……〉

 歌詞全文がお経で、「南無阿弥陀仏」以外は四字熟語になっています。右の部分を含めて抜き出すとこうなります。

 「生者必滅・会者定離しきそくくうじゃくめつらくしょぎょうじょう

 巧みなことば遊びです。仏教に関する四字熟語をよくぞ集めました(作詞者不詳、作曲・栗原重一)。

 このように、四字熟語の中には、仏教から来ていることばが多くあります。

 インドで生まれた仏教は、西さいいきから中国に入り、朝鮮半島を通って日本に伝わりました。中国では、仏典がすべて中国語(つまり漢文)に訳されました。日本に入ったのは、この漢訳仏典です。

 したがって、仏教関係の四字熟語は、漢字音読み(昔の中国語音に基づく発音)にするのが普通です。訓読みが混じるものは「三日坊主」ぐらいしか見当たりません――いや、これが仏教関係と言えるかどうかは怪しいですが。

 仏教由来の四字熟語には、「生者必滅・会者定離」など難しいものもあれば、意外に身近に使われるものもあります。

 たとえば、「税金を私的に流用するとはごんどうだんだ」と言います。この「言語道断」は「もってのほか」の意味です。ところが、元は、仏がどんな存在かを説明することは不可能だ、「言語化する道が断たれている」という意味でした。

 あるいは、「古いカバンをしょうだいに使っている」などという「後生大事」。現代語では、長く大事にすることを指します。これは日本の仏教で生まれたことばで、後生(=来世)を大事に考えて、仏を信仰することを言いました。

 「他力本願」も仏教由来です。浄土真宗で、阿弥陀仏の本願(=願い)に頼って成仏することを言います。それが、現代語では、「勉強は他力本願ではいけない」のように、他人の力を当てにすることにも使われるようになりました。仏教を誤解させる、という意見があります。

 このほか、「いちねんほっいちれんたくしょうぞうぞうはっごうとく……」なども仏教に関係があります。仏教は日常生活の中に入り込んでいます。

出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報

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