デジタル大辞泉
「仕事師」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
しごと‐し【仕事師】
〘名〙
① 土工または土建工事に従事する人。江戸時代から、多く組をつくって
火消しを兼ねた。鳶
(とび)の者。仕事衆。
※談義本・教訓雑長持(1752)一「仕事師
(シゴトシ)の
古着」
※人情本・吾嬬春雨(1832)後「供に連れたる抱への鳶者(シゴトシ)」
② 事業を計画、経営することの巧みな人。やりて。
※武州このごろ記(1935)〈北条清一〉一千字訪問「大久保君が中々の仕事師であるといふことを想像するに難くない」
[語誌](1)「随・
守貞漫稿‐四」によれば、
土木の
雑務を
生業とする雇われ人足を指す、江戸での名称で、「鳶
(とび)」ともいわれていたと記されている。京坂での「手伝人足
(てつだいにんそく)」と同じであるとも記されている。
(2)町抱えまたは店抱えという形態で
日当を貰っていたが、
武家に雇われることもあり、その場合には、「手間
(てま)」と呼ばれた。土木業の他に、火消しも兼ねていたが、次第に火消しの方に
重点が置かれるようになっていった。
(3)近代に入ると、「消防夫」という名称に取って代わられ、特に明治三九年(
一九〇六)に
消防署が設置されたことにより、火消しの
意味での使用は減少した。そのため「仕事師」は土木業に従事する
労働者の意味が再び強くなり、事業の計画や経営の上手な人を指す②の
用法も新たに生じた。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の仕事師の言及
【鳶】より
…建築や土木作業で足場の組立てなど雑務を行う者。鳶職,鳶の者,鳶人足,仕事師ともいう。トビという職名は,彼らが鳶口または鳶と称する樫棒の先に鋼鉄製の鉤(かぎ)をつけた道具を携行することに由来する。…
※「仕事師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」