付込む(読み)ツケコム

デジタル大辞泉 「付込む」の意味・読み・例文・類語

つけ‐こ・む【付(け)込む】

[動マ五(四)]
相手弱点やすきに乗じて事を行う。機会抜け目なく利用して自分が有利になるようにする。つけいる。「人の弱みに―・む」
帳面などに仕訳しわけをしないで事項を順々に記入する。「支出を―・む」
事務処理の上で、記入してはいけない余分な金額を書き加える。「帳簿に―・む」
あとを追って居所をつきとめる。
「おせんが帰るに―・み」〈浮・五人女・二〉
座敷などを前もって予約する。
一度逢うた太鼓持ちも、かぎ出して来て―・めば」〈滑・浮世瓢箪〉
[類語]乗じる付け入る足元を見る尻毛を抜く

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「付込む」の意味・読み・例文・類語

つけ‐こ・む【付込】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙
    1. 相手の気持やすきに乗じて、自分の有利をはかる。好機をとらえてうまく利用する。つけいる。
      1. [初出の実例]「此方の弱身を見せると、それからつけ込(コミ)て、此程のふり返しをするには極った事」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)五)
      2. 「損毛承知で売ってしまふ了簡だから其処へ付込(ツケコ)ンで性一ぱいねぎりつけて買落す策があるヨ」(出典:安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉三)
    2. あらかじめ約束しておく。前もって申し込む。
      1. [初出の実例]「一度逢たたいこ指(もち)も、かぎ出して来てつけこめば、献(さす)やら(おさへる)やら呑やらうたふやら」(出典:洒落本・戯言浮世瓢箪(1797)三)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
    1. 跡をつけてゆく。また、あとを追ってそのまま相手の家などに入る。つけいる。
      1. [初出の実例]「おせんがかへるにつけこみ、ないない約束、今といはれて、いやがならず」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)二)
    2. 荷物などを運び込む。
      1. [初出の実例]「荷物あまた付こむ問丸こそにきははしけれ」(出典:俳諧・類船集(1676)幾)
    3. 仕分けをしないで、次々と帳面にしるす。書き込む。
      1. [初出の実例]「悉く彼の日記につけ込んである」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉九)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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