仮設(読み)カセツ

デジタル大辞泉 「仮設」の意味・読み・例文・類語

か‐せつ【仮設】

[名](スル)
必要に応じて仮に設けること。「災害地に宿泊所を仮設する」「仮設舞台」
現実とは別に、頭の中で考えること。また、その内容
「これは純一自分で自分を弄んでいる―の問題である」〈鴎外青年
仮定2」に同じ。
[類語]特設増設

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精選版 日本国語大辞典 「仮設」の意味・読み・例文・類語

か‐せつ【仮設】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 必要な期間だけ、仮に建てたり、設備したりすること。また、本物に似せて仮に作ったもの。
    1. [初出の実例]「仮設(カセツ)野戦病院の前を過ぎ候処」(出典:不如帰(1898‐99)〈徳富蘆花〉下)
    2. [その他の文献]〔蘇軾‐秦少游夢発殯詩〕
  3. 想像などによって仮に作り出すこと。事実ではなく考えによって仮にこうだとすること。
    1. [初出の実例]「人乃疑謂、仏法皆虚、因果報応、仮設而已」(出典:艸山集(1674)二・復南紀澄公書)
  4. 数学や論理学で、ある結論が成り立つための前提条件。仮定。仮説。〔哲学字彙(1881)〕
  5. かせつ(仮説)
    1. [初出の実例]「自然科学でも、社会科学でも、想像し予想する形の理論、いわゆる仮設をつくります」(出典:弁証法はどういう科学か(1955)〈三浦つとむ〉三)

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改訂新版 世界大百科事典 「仮設」の意味・わかりやすい解説

仮設 (かせつ)
hypothesis

数学用語。〈xが0でない実数ならばx2は正の数である〉というような〈AならばB〉の形の数学的定理(または命題)において,A部分,上の例では〈xは0でない実数である〉をこの定理の仮定または仮設という。Bの部分,上の例では〈x2は正の数である〉をこの定理の結論または終結conclusionという。換言すれば,定理の前提条件が仮設(仮定)であり,結論部分が終結(結論)である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の仮設の言及

【仮説】より

…事象や法則について説明するために仮に設定された説のこと。しかし仮説は,それまで知られていなかった事象や法則をも説明できるとわかれば,一般には,それは確かなものとみなされるようになり,〈法則〉とか〈理論〉と言われるようになる。したがって仮説とは,十分に確かめられる前の法則ないしは理論の姿である,とも言える。しかし,いかに十分に確かめられた法則や理論も,いつかはそれらでは説明しきれない事象や法則に遭遇して反証されてしまい,新しい理論にとって代わられる可能性がある。…

※「仮設」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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