企業評価(読み)きぎょうひょうか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「企業評価」の意味・わかりやすい解説

企業評価
きぎょうひょうか

企業の現時点における全体的価値を見積り算出すること。企業の譲渡合併、組織変更、更生、準更生、解散などの場合に必要となる。継続企業の場合の評価方法には、種々のものがある。第一は、将来の予想利益を現在の資本価値に還元する方法である。それは、将来予想される利益の流列とくに利子支払い前の営業利益を、その企業の資本コストで割り引くことによって求められる。第二は、株式市価または持分市価を基準として決定する方法である。これは、企業が発行している株式と社債の市場総価額をもって企業の総価値とするものであるが、投資家が企業収益をかなり正確に予想でき、証券価格はその投資価値を反映しているとの仮定にたっている。第三は、会社の各資産の再調達時価から減価償却費を控除した額の合計値とするものである。第四は、会社の各資産の簿価の合計値とするものである。第五は、会社の資産を売却処分したときの価額から負債総額を控除した額とするものである。実際には、以上の各法を併用することが多い。

[森本三男]

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知恵蔵 「企業評価」の解説

企業評価

企業が様々な意味でいくらに値するかを算出すること。このような価値の概念はそれを見積もる主体が誰であるかにより異なり、株主の場合には企業の市場価値(その代表的尺度が株式の時価総額)、債権者の場合には企業が持つ資産の価値など、様々な定義が可能。企業評価が注目されるようになった背景には、社債発行企業が格付け会社によって格付けされるようになり、そこでのAAA(トリプルエー)などの呼称が当該企業の商品(保険など)のクオリティーを宣伝するのに使われ始めたことがある。格付け自体は企業の債務不履行の危険の大きさを表す指標であり、直接の企業価値を示すものではないが、これを株式の投資価値の指標としてマスコミが使用したりするうちに広まった。ただしライブドア事件や村上ファンド騒動で、時価総額などの指標を単純に「株主の富」とみなす発想にはブレーキがかかっている。最近は企業評価にあたり、ブランドなどの知的無形資産が果たす役割が高まりつつある。

(小山明宏 学習院大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

会計用語キーワード辞典 「企業評価」の解説

企業評価

企業買収や合併(M&A)の際に買収価額や合併比率を計算するために不可欠なのが、企業評価です。手法にはマーケット・アプローチ、コスト・アプローチ、インカムアプローチの3つがあります。マーケット・アプローチ→株式市場での同業他社の取引価格を基礎に算定する。コスト・アプローチ→対象企業を時価評価して、企業価値を算定する。インカム・アプローチ→将来の収益をベースに企業価値を算定する。

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