伊(漢字)

普及版 字通 「伊(漢字)」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 6画

[字音]
[字訓] よる・これ・ふさぐ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は尹(いん)。尹は神官が神杖をもつ形。その神杖によって神をよぶ意がある。〔説文〕八上に「殷の人阿衡(あかう)なり。天下を尹治するなり。人に從ひ、尹に從ふ」と字を会意とし、伊尹(いいん)の名とする。伊尹は箱舟で洪水を免れ、空桑の中から見出だされた聖者で、洪水説話にみえる神。卜辞に「尹」の名があり、「阿衡」にあたるものであろう。〔周礼、秋官、伊耆(いき)氏〕に「國の大祭祀に、其の杖咸(函)~を共(供)することを掌(つかさど)る」とあり、古い聖家族の伝統を伝えるものであろう。

[訓義]
1. よる、おす。
2. 隹・唯・維と通じて、助詞「これ」に用いる。隹系統の字は鳥占(とりうら)によって神意を確かめる意がある。
3. と通じて、ふさぐ意がある。
4. 川の名、人の姓。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕伊 コレ・ココニ・イマ・マコト・コトハ

[語系]
伊iei、唯・維jiui、隹tjiuiは同系の語。神意の示現を確かめる意がある。inも声近く、水を塞ぐ意。川の名、人の姓もこれと関係があろう。

[熟語]
伊鬱・伊耆伊旧伊闕伊吾伊始・伊誰・伊昔伊曹伊邑伊優伊洛伊呂
[下接語]
軋伊・郁伊・鬱伊吾伊

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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