日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊藤貞市」の意味・わかりやすい解説
伊藤貞市
いとうていいち
(1898―1980)
鉱物学者、結晶学者。大阪市生まれ。1923年(大正12)東京帝国大学地質学科を卒業後、京都帝国大学大学院、東京帝国大学理学部助教授などを経て、1943年(昭和18)東大理学部教授となる。その後京大教授を併任する。1953年(昭和28)日本学士院会員に選出される。X線結晶学、数理結晶学の分野で、日本の鉱物学の近代化に多大の貢献をした。おもな著作は『X-ray Studies on Polymorphism』(1950)で、個々の原子や分子のみならず、それらの集団も結晶を構成する単位となりうることを明らかにした。これらの業績によって、日本結晶学会、日本鉱物学会、イギリス鉱物学会の名誉会員となり、1968年にアメリカ鉱物学会よりロブリング・メダルを受賞した。
[松原 聰]