伸びきり鎖結晶(読み)ノビキリサケッショウ

化学辞典 第2版 「伸びきり鎖結晶」の解説

伸びきり鎖結晶
ノビキリサケッショウ
extended chain crystal

高分子鎖が折りたたまれることなく,分子鎖方向に伸びきった状態の高分子結晶.一般に,高分子を溶液や融体から結晶化させると,高分子の種類や,結晶化条件によって異なるが,約5~10 nm の厚さに高分子鎖が折りたたまれたラメラ結晶が形成される.伸びきり鎖結晶は,高圧下で融体から結晶化させると発現する.高圧下では,分子鎖間ですべりやすい六方晶が形成するため,分子鎖方向に結晶が厚化し,伸びきり鎖結晶が発現する.伸びきり鎖結晶は,高分子を合成する段階でも合成条件を制御することにより形成できる.たとえば,重合モノマー結晶の固相状態での重合(固相重合)や,溶液からの高分子の重合過程で,重合速度より結晶化速度が速い場合には,高分子鎖が折りたたまれず,伸びきった結晶が形成される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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