住宅ローン債権信託(読み)じゅうたくローンさいけんしんたく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「住宅ローン債権信託」の意味・わかりやすい解説

住宅ローン債権信託
じゅうたくローンさいけんしんたく

住宅金融会社が保有する住宅ローン債権を信託財産として信託会社に信託するもので,1973年に創設された金銭債権信託一種。その仕組みは,(1) 住宅金融会社は委託者となって,その保有する個人向けの割賦約定付貸付債権 (住宅ローン債権) を信託会社に信託する。 (2) 信託会社は受益権を証する受益権証書を住宅金融会社に交付する。 (3) 住宅金融会社は受益権証書のうち第1受益権を自社が保有し,第2受益権を機関投資家へ譲渡して長期固定化しているローン債権の資金化 (流動化) をはかり,取得した資金をさらに新たな住宅ローン希望者に融資する。 (4) 信託会社はローン債務者から払込まれる約定償還金から信託報酬などを差引き,第1受益者には元本,収益金を,第2受益者には収益金を交付する。 (5) 信託終了の際は収益金の支払いのほか,第1受益者に対しては受益権証書と引替えに残存元本を現状のまま交付し,第2受益者に対しては換価のうえ受益権証書と引替えに金銭で支払う。

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世界大百科事典(旧版)内の住宅ローン債権信託の言及

【信託】より

…金銭債権の信託は,債権者が自己の有する債権を管理処分するために信託するものであり,第2次大戦以前には生命保険債権を信託し,満期死亡時に信託会社が保険金を受け取ってこれを管理する生命保険信託がほとんどであった。現在は住宅金融専門会社などが住宅金融をリファイナンスするために,住宅ローンの融資債権を信託する住宅ローン債権信託が中心である。動産の信託は,商品の受渡しをする問屋類似行為として長い間禁止されていたが,第2次大戦後アメリカの動産設備信託にならって,鉄道車両や船舶の建造のための資金調達形態の一つとして,1956年から日の目をみることになった。…

※「住宅ローン債権信託」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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