俗謡(読み)ぞくよう

精選版 日本国語大辞典 「俗謡」の意味・読み・例文・類語

ぞく‐よう ‥エウ【俗謡】

〘名〙 民衆の間で歌われてきた、または歌われている歌。民謡を都会化し、芸術歌謡化したもの。三味線伴奏をつけることによって、原曲リズムが変化したり、旋律が技巧的に複雑になることが多い。また、通俗的な歌曲をいう。
随筆・皇都午睡(1850)初「阿波座鴉は銭ももたずと新町へうせて買々と啼との俗謡より発る、ぞめきひやかしの異名なるべし」
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉七「声はすれども姿は見えずと云ふ俗謡は」

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デジタル大辞泉 「俗謡」の意味・読み・例文・類語

ぞく‐よう〔‐エウ〕【俗謡】

民間うたわれる歌謡。小唄端唄はうた民謡流行歌など。
[類語]俗曲流行歌歌謡曲

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百科事典マイペディア 「俗謡」の意味・わかりやすい解説

俗謡【ぞくよう】

民謡本来土地を離れ,都会で専門歌い手芸者などにより技巧化され,楽器の伴奏をつけ都会風・座敷歌風に変質したもの。広義には民謡や流行歌・俗曲など通俗的な歌すべてを含めることもある。

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普及版 字通 「俗謡」の読み・字形・画数・意味

【俗謡】ぞくよう

民謡。

字通「俗」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「俗謡」の意味・わかりやすい解説

俗謡
ぞくよう

俗曲

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世界大百科事典(旧版)内の俗謡の言及

【俗曲】より

…1950年代になって,端唄,うた沢,小唄など小歌曲の総称として,放送局が便宜的に用いたこともある。俗曲と俗謡はしばしば混用されてきたが,俗謡のほうがより漠然とポピュラーな歌を意味する場合が多い。【倉田 喜弘】。…

【日本音楽】より

…浄瑠璃風を加味した歌本位にした点と,伴奏を箏本位にした点に特色がある。江戸時代末期には民謡が都会地で俗謡として流行したり,寄席の音曲として俗曲が行われたが,三味線伴奏の大衆的な小編歌謡も隆盛になり,その中の端唄が技巧化して一流としての旗揚げをしたのがうた沢である。また清元の曲風を受け,テンポも早間(はやま)になったものが江戸小唄(小唄)で,これは次の期にさらに発達し,第2次世界大戦後にも非常な流行をみている。…

【流行歌】より

…また,逆に都会地または特定の地域のはやりうたが他の地方に流伝して,各地に土着したものもある。これらのものは,現在では〈民謡〉という言葉で定義されるものに含まれるが,都会地成立の小編はやりうたである〈小うた〉〈はうた〉と区別して,〈俚謡〉〈俗謡〉などと称したこともあり,〈都々逸(どどいつ)〉〈とっちりとん〉など寄席の音曲として行われたものも含めて〈俗曲〉と呼ぶこともある。 なお,中国の民間音楽の伝来したもののうち,明楽ないし清楽または明清楽として伝承されたもの以外に,日本のはやりうた化したものもあり,とくに〈唐人踊〉の歌として,転訛(てんか)した日本語または日本語の替歌の詞章に変えられて流行したものもある。…

【民謡】より

…【徳丸 吉彦】
【日本】

[名義]
 日本で民謡の語が一般化したのは近代以降である。明治中期,作家の森鷗外や英文学者上田敏などが民謡の語を使用したのは,ドイツ語のフォルクスリード,英語のフォーク・ソングの訳語としてで,国文学者の志田義秀は1906年に発表した《日本民謡概論》で,民謡とは技巧詩・芸術詩を意味するクンストポエジーKunstpoesieに対するフォルクスポエジーVolkspoesieすなわち民間の俗謡の意であると述べている。以来,前田林外編《日本民謡全集》(1907),童謡研究会編《日本民謡大全》(1909)などが出て,民謡の語は徐々に普及するようになった。…

※「俗謡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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