偃蹇(読み)エンケン

デジタル大辞泉 「偃蹇」の意味・読み・例文・類語

えん‐けん【××蹇】

[ト・タル][文][形動タリ]
物が延び広がったり高くそびえたりしているさま。また、多く盛んなさま。
「―として澗底かんていうそぶ松が枝には」〈漱石・薤露行〉
おごり高ぶるさま。
ことさらに作ッた―恣睢しき」〈二葉亭訳・あひゞき初稿

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精選版 日本国語大辞典 「偃蹇」の意味・読み・例文・類語

えん‐けん【偃蹇】

〘名〙 (形動タリ)
① 高まったり、あるいは広がり延びたりしていること。また、そのさま。
※本朝無題詩(1162‐64頃)四・暮春即事〈藤原明衡〉「緑枝偃蹇松当戸、碧浪泓澄水在庭」 〔楚辞離騒
世俗を超越していること。また、そのさま。
菅家文草(900頃)二・山家晩秋「養性有余空偃蹇、我情多恨相知晩」
③ おごり、たかぶること。また、そのさま。
※延宝八年合類節用集(1680)「偃蹇 エンケン 驕傲㒵」 〔春秋左伝‐哀公六年〕
④ 広く盛んに歩きまわること。
※懶室漫稿(1413頃)五・序・寄剛中上人詩序「吾子偃蹇丘壑。不之伍也久矣」
⑤ (「偃」は伏すこと、「蹇」は足なえをいう) 体が不自由で仕事のできないこと。また、その者。〔文明本節用集(室町中)〕

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普及版 字通 「偃蹇」の読み・字形・画数・意味

【偃蹇】えんけん

高くそびえ、わだかまるさま。〔楚辞、離騒〕瑤臺(えうだい)の偃蹇たるをみ 佚女を見る

字通「偃」の項目を見る

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