岩石学辞典 「偽平衡」の解説 偽平衡 ① false equilibrium: 任意の化学変化についいて,親和力は常に反応速度と同じ符号をもっている.そして親和力が0であれば反応速度も0で,系は平衡状態にある.しかし逆に反応速度が0であっても親和力は必ずしも0ではない.このように親和力は0ではないが,実際に反応が進行しない場合を偽平衡という.より安定な状態へ変化する速度が非常に小さいため見かけ上何の変化も起こさず,化学平衡と見なせる状態で,一種の準安定状態と考えることができる.正反応,逆反応のどちらの側からの反応によっても同一の状態に到達するときは真の平衡状態であるが,偽平衡の状態は一方の側からしか到達できない[片山ほか : 1970, 長倉ほか : 1998].特に変成岩の場合には,可能な反応速度が非常に小さくゼロに近いため,ある鉱物が変化せずに残っているような条件をいう[Harker : 1932, Edgar : 1974]. ② quasi-equilibrium: 平衡に近い冷却状態のことで,厳密な平衡状態およびはっきりした非平衡状態と区別するために名付けられたもの[ゴードン : 1971]. 出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報