傾斜試験(読み)ケイシャシケン(その他表記)inclining experiment

デジタル大辞泉 「傾斜試験」の意味・読み・例文・類語

けいしゃ‐しけん【傾斜試験】

船の重心の上下位置を測定する試験。甲板上の重量物を横方向に移動したときの傾斜から算出する。

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精選版 日本国語大辞典 「傾斜試験」の意味・読み・例文・類語

けいしゃ‐しけん【傾斜試験】

  1. 〘 名詞 〙 船の重心を算定する試験。船を静水に浮かべ、甲板上の一方の舷に重量物をかたよらせ、船を傾けてその角度を測定し、重心の龍骨面からの高さを算定する。

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改訂新版 世界大百科事典 「傾斜試験」の意味・わかりやすい解説

傾斜試験 (けいしゃしけん)
inclining experiment

船や海洋構造物などの浮体が,風,波などの外力によって傾斜するとき,外力に抗して元にもどろうとする復原性能の良否は浮体の重心の垂直高さに依存する。この重心高さを調べるために行う試験を傾斜試験という。浮体の上で小重量物(重量w)を水平横方向にlだけ移動させたとき,浮体が微小角θ傾斜し,傾斜偶力wl・cos θと浮体の復原力が等しくなり静的つり合いの状態になったとする。微小傾斜時の復原力は浮体の重量をW,重心(G)上のメタセンターM)までの垂直距離GMとすれば,WGM・sinθで与えられるので,傾斜角θを計測すれば,GMwl/(Wtanθ)によってGMが求められる。メタセンターの位置は浮体の水面下形状のみにより決まり,浮体の設計の際,種々の浮遊状態に対してあらかじめ計算されているので,浮遊状態がわかれば直ちにM点の位置は求められ,したがって,計測されたGMの値から,浮体の重心高さもわかる。
復原力
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