明治維新後に定められた皇室祭祀(さいし)の一つ。1月3日に天皇が宮中三殿(賢所(かしこどころ)、皇霊殿、神殿)において親祭し、皇位の始源を祝う。起源は1870年(明治3)1月3日、神祇(じんぎ)官八神殿に八神、天神地祇(てんじんちぎ)、歴代皇霊を鎮祭したのに始まるという。名称は『古事記』序にある「元始綿邈(めんばく)」からとったとされ、73年1月3日から三殿親祭となった。皇室祭祀のなかの重儀とされており、1908年(明治41)制定の「皇室祭祀令」で大祭に編入され、27年(昭和2)の公布で「祭日および祝日」と定められた。第二次世界大戦後は国民の祝日からはずされたが、宮中では旧来どおりの方式で祭儀が営まれている。
[阪本是丸]
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…祭祀令は,皇室の祭祀を大祭と小祭に分け,大祭は天皇みずから祭典を行い,小祭は掌典長が祭典を執行し,天皇が拝礼するものと定めている。
[大祭]
1月3日の元始(げんし)祭,2月11日の紀元節祭,春分の日の春季皇霊祭・同神殿祭,4月3日の神武天皇祭,秋分の日の秋季皇霊祭・同神殿祭,10月17日の神嘗(かんなめ)祭,11月23~24日の新嘗(にいなめ)祭,および先帝祭(毎年の命日),先帝以前3代の式年祭(没後満3,5,10,20,30,40,50,100年,以後100年ごとの命日),先后の式年祭,母后の式年祭が大祭である。このうち神嘗祭と新嘗祭以外は,みな明治以後に創制されたものである。…
※「元始祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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