元慶寺(がんけいじ)(読み)がんけいじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「元慶寺(がんけいじ)」の意味・わかりやすい解説

元慶寺(がんけいじ)
がんけいじ

京都市山科(やましな)区北花山(きたかざん)河原町にある天台宗の寺。華頂山(かちょうざん)と号する。花山寺(かざんじ)ともいう。清和(せいわ)、陽成(ようぜい)両天皇の勅を奉じて開創。869年(貞観11)勅願により遍昭(へんじょう)僧正開基、877年(元慶1)新年号にちなんで元慶寺の定額を賜った。年号は「がんぎょう」と読むが、寺は「がんけい」としている。花山天皇落髪の寺で、西国三十三観音霊場番外札所でもある。山門は唐風(からふう)ともいえる京都三竜宮門の一つ。境内は狭く、小さな本堂には本尊薬師如来(やくしにょらい)(遍昭作)、阿弥陀仏(あみだぶつ)(慈覚大師作)、毘沙門天(びしゃもんてん)(運慶作)、十一面観音を祀(まつ)る。寺宝には、花山法皇の木像および肖像画、遍昭の木像などのほか、梵天(ぼんてん)、帝釈天(たいしゃくてん)像(平安前期、京都国立博物館寄託)がある。

[野村全宏]

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