入浴関連死(読み)にゅうよくかんれんし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「入浴関連死」の意味・わかりやすい解説

入浴関連死
にゅうよくかんれんし

意識障害が原因の浴槽での溺死(できし)や、脳卒中心筋梗塞(しんきんこうそく)などを発症したことによる浴室での死亡など、入浴中の急死総称。東京都健康長寿医療センター研究所は、東日本各県消防本部の調査を分析した結果、2011年(平成23)の1年間に浴室で死亡した人(浴室内での心肺停止状態を含む)の数を全国で約1万7000人と推計した。これによると、年齢分布では65歳以上の高齢者が多数を占め、なかでも80歳以上が多い。また、入浴関連死は冬期に多発していることも明らかになった。暖房のある部屋で過ごしているときには体温が高く保たれ、血管も広がっているが、入浴のために暖房のない脱衣所へ移動して衣服を脱ぐと、急激に体温が奪われ、血管が収縮する。それがさまざまな急性の病気を引き起こすと考えられている。また湯船に浸かっている間に熱中症になり、そのまま倒れるといったケースも多い。脱衣所や浴室を暖房器具で暖める、湯船に浸かる際にはお湯の温度を熱くしすぎないようにするなど、ちょっとした注意で入浴関連死を予防できるといわれている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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