統計調査にあたり、対象とする集団に含まれる個々の単位を一つ残らず調べる調査方法。対象集団に属するもののうち、一部の単位だけを取り出して調べる標本調査に対応する統計調査の方法であり、全部調査、悉皆調査(しっかいちょうさ)ともよばれる。この調査方法によると、まず対象集団そのものの規模を知ることができ、さらに調査単位のもつ属性について多角的な情報を得ることができるとともに、集団自体の構造特性をも明らかにしうる利点がある。その反面、調査費用が多額に上ること、調査結果の集計・編集が容易でなく公表までに時間がかかること、などの欠点がある。したがって、この調査方法は、比較的限定された対象集団に対してか、あるいは逆に、国民全体などの大規模集団について、その規模と基本構造を5年、10年という比較的長期の時間間隔をもって調査するのに用いられる。後者の例が、国勢調査に代表されるセンサスである。
[高島 忠]
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…経済現象を対象として,統計調査によって得られた結果を数字で表現したものをいう。統計調査には全数調査と標本調査の二つがある。全数調査はセンサスとも呼ばれ,たとえば国勢調査では全国の全世帯,事業所統計では全事業所というように,対象となる客体をすべて網羅している。…
…センサスとは,本来は古代ローマで行われた人口登録調査のことであるが,後には国勢調査あるいはそれに類する大規模な人口調査のことをいうようになり,さらには一定の社会集団全体を対象とした大規模な全数調査のことも指すようになった。現在では人口センサス(国勢調査)のほかに,事業所センサス,農業センサス,林業センサス,工業センサス,商業センサスなどの言葉が用いられている。…
…日本の人口や雇用労働者の平均賃金を知る場合などのように,特定の集団を観察してその特徴を数量的に把握する調査を統計調査という。対象となる集団のすべての構成要素を観察する統計調査が全数調査と呼ばれるのに対し,構成要素の一部分しか観察されない統計調査は標本調査と呼ばれる。標本調査は,構成要素の抽出が確率的に行われるか否かによって,無作為抽出法(ランダム・サンプリング)と有意抽出法とに二分される。…
※「全数調査」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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