公同会運動(読み)こうどうかいうんどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「公同会運動」の意味・わかりやすい解説

公同会運動
こうどうかいうんどう

沖縄の守旧派による権益回復運動。1896年(明治29)旧士族層により公同会が結成され、県下で7万3000人の署名を集め、翌年代表団を東京に送り政府に請願を行った。要求の趣旨は、(1)沖縄県に特別制度を敷き、(2)その首長(長司(ちょうし))に旧国王尚泰(しょうたい)を任命してほしいというものである。政府はこれを拒否、新聞も時代錯誤と批判、地元沖縄でも強い反対が起こったため運動は瓦解(がかい)した。この運動は、日清(にっしん)戦争後の新しい事態を迎えて、旧特権層が自己の権益を回復することをねらったものであった。指導者の1人に、のちに沖縄最初の新聞『琉球(りゅうきゅう)新報』の主筆となる太田朝敷(おおたちょうふ)がいた。挫折(ざせつ)後、メンバーは大勢に身をゆだねる現実主義的方向に変転した。

[高良倉吉]

『『沖縄県史 第一巻』(1976・沖縄県教育委員会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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