六方者(読み)ろっぽうもの

日本大百科全書(ニッポニカ) 「六方者」の意味・わかりやすい解説

六方者
ろっぽうもの

万治(まんじ)・寛文(かんぶん)年間(1658~73)を中心に江戸市中を横行した男伊達(だて)。六法者とも書く。大撫付髪(おおなでつけがみ)、惣髪(そうはつ)、茶筅髪(ちゃせんがみ)に、ビロード襟の着物などを着て、丈も膝(ひざ)のところぐらいまでにし、褄(つま)を跳ね返らせ、無反(むそり)の長刀を閂(かんぬき)に差し、大手を振って歩いた。このかっこうから六方者という名称がおこったといわれる。御法(ごほう)(五法)を破る無法者(六法者)の意味ともいう。また旗本奴の六法組の者とも、旗本奴の六団体の総称ともいうが、いずれも明確ではない。ことばもなまぬるいことを嫌って六方詞(ことば)という特殊語を使い、博奕(ばくち)、喧嘩(けんか)、辻斬(つじぎ)りなど傍若無人にふるまった。

稲垣史生

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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