…しかし10世紀ころを境として律令国家の衰退と藤原摂関体制成立にともなう社会変動が顕著となり,旧秩序解体の不安の下で,来世における個人の救済を志向する浄土教が発達するにつれ,観音信仰も六道抜苦の来世信仰としての性格を帯びるようになる。こうした来世的観音信仰は,まず菅原道真,源兼明など藤原氏に疎外された10世紀の没落貴族を中心に形成され,やがて六観音信仰に発展した。六観音とは天台宗の《摩訶止観》に説くところで,六道の煩悩を破砕するという大悲・大慈・師子無畏・大光普照・天人丈夫・大梵深遠の6体の観音のことである。…
…サンスクリット名Cintāmaṇicakraの訳で,変化観音に属し,六観音(聖,十一面,千手,不空羂索,馬頭,如意輪)の一つ。観音が如意宝珠もしくは法輪の功徳をもって衆生の苦を救い,宝財を施して願望を意の如く成就せしめんがために変化したものとされる。…
※「六観音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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