内国民待遇(読み)ナイコクミンタイグウ

デジタル大辞泉 「内国民待遇」の意味・読み・例文・類語

ないこくみん‐たいぐう【内国民待遇】

裁判税金契約団体への参加事業活動などに関して、相手国の国民自国民と同等に待遇すること。

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精選版 日本国語大辞典 「内国民待遇」の意味・読み・例文・類語

ないこくみん‐たいぐう【内国民待遇】

  1. 〘 名詞 〙 裁判、税金、契約、財産権などについて、相手国の国民を自国の国民と差別しないで同等に待遇すること。通常、通商航海条約で定められる。〔日本国との平和条約(1952)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「内国民待遇」の意味・わかりやすい解説

内国民待遇 (ないこくみんたいぐう)

自国の領域内で,自国民に与える待遇と同様の待遇を他国の国民にも与えることを内国民待遇といい,このような待遇を規定する条約の規定を内国民待遇条項という。これは,特定の事項についての内外人差別待遇を排除しようとするもので,19世紀の自由貿易主義を反映して,一般に通商航海条約で採用されるに至った。一般国際法では国家がその領域内にある外国人の法的地位を原則として自由に決定できることから,内国民待遇条項が条約の中に規定される意義および必要があるのである。いかなる事項について内国民待遇を与えるかは,個々の通商航海条約やその他の条約の規定によって決定される。日米友好通商条約では,両国それぞれの国民,会社,産品船舶またはその他の対象が同様の場合にその領域内で与えられる待遇よりも不利でない待遇を与えることを締約している。内国民待遇がなされる場合でも,具体的に外国人にどの程度の保護を与えなければならないかという点については,国際標準主義と国内標準主義が対立し,各国の主張は必ずしも一致していない。しかし,国内標準主義にも,内外人平等にその人権と自由を侵害することを許す趣旨は含まれておらず,人類的基準による制約を受けているとみるべきである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「内国民待遇」の意味・わかりやすい解説

内国民待遇
ないこくみんたいぐう
national treatment

ある国の領域内で他国の国民、産品、船舶などに与えられる待遇で、当該国のそれらの対象が同様の場合にその領域内で与えられる待遇よりも不利でないもの。つまり、この待遇は通商条約などに規定され、条約の相手国の国民などに自国民などと平等の待遇を与えることを約束するものである。19世紀以後のヨーロッパ諸国は、相互に相手国民に内国民待遇を与えた。今日では、世界貿易機関WTO)が国内での課税および規則に関する内国民待遇を規定したり、国際人権規約が人権保護に関する内国民待遇(内外人平等主義)を原則として規定するなど、国際関係において、この待遇は広範に認められている。

[佐分晴夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内国民待遇」の意味・わかりやすい解説

内国民待遇
ないこくみんたいぐう
national treatment

条約の一方の当事国が,自国の領域内で他方の当事国の国民や産品に対して,自国民や自国産品に対して与えるのと同じ権利や特権を与えること。通商条約に規定されることが多い。内国民待遇の範囲は個々の条約により異なる。かつては出訴権や身体の保護に限ったものもあったが,第2次世界大戦後は次第に拡大され,以上に加えて社会保障,財産の保護,営利活動,工業所有権,課徴金,会社や船舶の処遇などにまで及んでいる。他方で沿岸貿易,内国漁業,公益事業,資源開発などは,内国民待遇の例外事項とされることが多い。 (→最恵国待遇 )  

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百科事典マイペディア 「内国民待遇」の意味・わかりやすい解説

内国民待遇【ないこくみんたいぐう】

他国民を自国民と同様に待遇すること。航海,居住,事業,私法上の権利等の事項に関する内外人の差別待遇排除を目的とし,19世紀の自由貿易主義を反映して,ふつう通商航海条約で規定される。
→関連項目通商航海条約日米友好通商航海条約

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知恵蔵 「内国民待遇」の解説

内国民待遇

外国商品や外国船舶あるいは外国人の自国内における租税、財産権、事業活動などについて、自国商品や自国民に与えるより不利にはならない待遇を与えるルールで、通常は二国間の通商航海条約に相互主義に基づき規定されている。ガットの第3条では「いったん輸入されて自国領域に入った他の締約国の産品は同種の国内産品と同じ取り扱いを与えられる」としており、輸入品に対する内国税の高い課税や国内での販売、購入、輸送、分配、使用に関する法令上の不利な取り扱いを禁止している。

(永田雅啓 埼玉大学教授 / 松尾寛 (株)三井物産戦略研究所副所長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の内国民待遇の言及

【外国人】より

…しかし,今日では,国際人権規約などによって,国際法上の制約が大きくなったことが注目される。その結果,これまで,私権の享有についていわれていた内国民待遇ないし内外人平等主義が,公権(基本的人権)についても適用されるようになった。ただ,出入国在留管理権は,今日でも,国家の主権と独立の属性と解されているので,外国人は国民とは異なり,当該国のひろい裁量に服さねばならない。…

※「内国民待遇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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